「マックの厨房で死ぬ」とまで言い切る男 OB・鴨頭嘉人氏に聞く

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――外食にはさまざまな会社があります。ほかの会社とマクドナルドの違いは何でしょうか

マクドナルドがナンバーワンであり続ける理由は、「人を大切にする」という哲学をしっかり持っていること。例えば社長でいうと、藤田田(注、日本マクドナルドの創業者)、八木康行(注、マクドナルド元社長)、原田泳幸(現社長兼会長)と、全然違うタイプの社長がいるし、店長や上司でもいろんなタイプの人がいます。

人を大切にするからナンバーワン

キャリアでいうと、藤田さんと、八木さんはもともとマクドナルドの人だけど、原田さんは外食産業を知らない人です。原田さんも大改革いっぱいやって、組織をほとんど変えたけど、絶対に変えなかったところは、“マクドナルドは人を大切にするから、外食産業ナンバーワンだ”という哲学です。このことを原田さんは一瞬で見抜いていました。

――マクドナルドの強みは人材力にあると指摘する業界関係者は多い。何が違うのでしょうか

根本はトレーニングシステムがしっかりしている点です。採用したアルバイトに1日目に何を教えるか、2日目に何を教えるかときて、30日間でどこまで教えなければならないかまで決まっている。採用して30日たった時には、「もうこれで一人前ですね」というセレモニーもやります。

アルバイトのマネージャーとなるにはリーダーシップとマネージメントの実践を店舗で研修し、本社にある研修施設「ハンバーガー大学」で時給をもらいながら、無料で5日間の講座が受ける必要があります。

アルバイトだけじゃなく、新入社員や店長になる前の社員、店長、スーパーバイザー、統括スーパーバイザー、部長になっても、ハンバーガー大学で継続的に学び続ける仕組みになっています。マクドナルドに勤めていた頃は、正直にいえば「今日は研修に行かなきゃいけないのか」と思うこともありましたが、こうして外に出てみると社員やアルバイトにここまで手間とお金をかけて研修するなんてあり得ない話です。

人を育てるためのすべてが、マックにはある

――マクドナルドは「マニュアルの会社」だというイメージがあります

多くの人はマニュアルがあったら、理念や哲学は不要だと勘違いしている。マニュアルは業者に作らせたり、他社のものをコピーすればいいが、そういったマニュアルは誰も使いこなせない。マニュアルがあって、それを活かすためのトレーニングシステムがあって、そのトレーニングシステムを活かすための採用プロセスがあるというように、全部つながっていないと機能しない。

マクドナルドにはマニュアルも研修も、理念も哲学も全部ある。マクドナルドはちゃんと「採用」、「マニュアル」、「トレーニングシステム」。この3つが完全に結びついている。これがマクドナルドの強みとなっており、他社が真似できない点でしょう。

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