「マックの厨房で死ぬ」とまで言い切る男 OB・鴨頭嘉人氏に聞く

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――頭のてっぺんから足元までマックにどっぷりだったのになぜ辞めたのでしょうか

僕がマクドナルドを卒業しようと思った理由があって、サービス業で働く全ての人が、生き生きと輝いて働ける仕組み「ハッピーマイレージ」を思いついたからです。

生涯の師・藤本孝博氏との出会い

マクドナルドにいたころ、藤本さん(注:藤本孝博氏。元マクドナルド社員で、天ぷら革命「ふじ好」を経営)に会いました。彼は今でも僕のメンターです。藤本さんがマクドナルドの営業部長は現役時代、すべてのエリアマネージャーに「1カ月間で何枚、他の会社の人間の名刺をもらってきたんや」と質問するんです。

少ないと怒られそうだから「50枚ぐらいです」と嘘をつくんですけど、実際には1ケタ少ないんです。その5枚も、自分から営業に行ったんじゃなくて、売り込みとか向こうから来た人と交換した名刺です。彼に会うまでは、本当にマクドナルドしか興味がなかったし、「マックの厨房で死ぬ」って思っていたので社外との繋がりは全然ありませんでした。

でも藤本さんは同じマクドナルドの社員なのに、ガンガン外の人とつながりに行っている。それで仕事があろうが、何をしていようが「お前も来い」と強制的に連れて行かれるわけです。あの人を見れば、「はい」って行くしかないですよ。

――藤本さん、面白い方ですよね。

もう破天荒ですよ。で、あの人に金魚のフンみたいについて、いろいろな人に会ううちに、だんだん考え方が開けていくわけです。マクドナルド以外の人に会ったほうが、マクドナルドをもっと貢献できるし、発展させられるような人材になれると。

ある時、居酒屋甲子園を主催する大嶋啓介さんのイベントで、「マクドナルドのアルバイト17万人の力で日本人を幸せにしよう」とプレゼンをしていました。そこの居酒屋の従業員がお客様をハッピーにしているのを見ながらしゃべっているうちに、「なんで僕はマクドナルドから絶対に出ないと決めているんだろう」と違和感を持つようになりました。

「あなたに会ってよかった」と思われる生き方をしたい

それ以前に、藤本さんから「お前、何になりたいんや」という質問を受けて、2年ぐらい考えた末に「おっしゃ!人気者になるんだ」という結論に至りました。人気者っていうのは、有名人じゃなくて、とにかく「あなたに会って良かった」と思われるような生き方、「これだけはやらなければ死ねない」という使命感を持つことです。

僕たちようにサービス業で働く人が、本当に生き生きと輝いて働ける社会を作れば、全ての人が笑顔で生きていける社会が作れはずです。サービス業で働いている人が、歯を食いしばってもどうにもならない。そんなことは今までもやっている。変わらなきゃいけないのはお客様だ。そこで考え付いたのがサービスパーソンではなく、お客様が変わる「ハッピーマイレージ」という仕組みです。

お客様が素敵なサービスを受けて、「うわー、笑顔素晴らしいですね。元気いただきました。これはサービス業で頑張っている人を応援するカードなので、良かったら受け取ってください」とこの赤いカードを渡します。そのことによって、このサービスパーソンが「お客様に認めてもらった!」と思うと、エネルギー上がってくるじゃないですか。

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