合格率は5.9%。ハーバード大入試の全貌 日米トップ大の入試はこんなに違う(下)

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最後に、面接(インタビュー)について、説明しよう。

多くの米国トップ大は面接を実施しているが、この面接はその大学の卒業生が行っている。日本の高校生がハーバードを受験する場合、日本に在住する、外国人または日本人のハーバード卒業生が面接官となる。どちらに当たるかは運だが、どちらにせよ、面接は英語で行われる。

インタビューの場所もまちまちで、面接官が勤務する会社に呼ばれて会議室のようなところで行われる場合もあれば、もっとカジュアルに喫茶店で行われる場合もある。時間は30分から1時間が一般的だが、長いときは2時間以上行われるケースもある。

処理能力 vs. 人間力

インタビューの評価基準や点数の付け方は、非公開のため詳細は不明だが、願書の内容があまり良くなくても、面接で一気に逆転し合格する場合もあれば、願書の内容が良くても、面接でうまくいかなくて不合格になってしまう場合もある。

この面接で何を見ているかというと、優秀な生徒であるか? を審査する以上に、その生徒が大学に入った後の貢献度、その生徒がやりたいことが実現できそうかどうかなど、フィット感やマッチ度を見ている。

大学と生徒のマッチングキーが、1回限りの筆記試験のみという東大と異なり、米国のトップ大は、願書の内容に加えて、面接で大学と生徒の相性まで審査される。

こうした米国トップ大の入試対策は、非常に難しい。これは、受験生のみならず、指導者側にとっても非常に悩ましい問題である。

日本の入試なら、過去問を中心に学習して模試を受ければ、今後、何をしないといけないかが明確になる。だが、米国の入試には過去問も模試もない。何から手をつけていいかもわからない。さらには、合格率も一桁台と極めて低い。

過去に学び、制限時間内で正解を導く、処理能力が問われる日本の入試。唯一の絶対的な正解がない環境で、答えを見出そうとする力や人間力が問われる米国トップ大の入試――。

高校生が大学受験を通して多くのことを学び、成長するとすれば、
この相対する2つの入試で身につける学びと成長は大きな違いがある。

(構成:上田真緒)

藤井 雅徳 ベネッセ・高校事業部グローバル事業推進ユニット長

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ふじい まさのり / Masanori Fujii

1975年大分県生まれ。99年、ベネッセコーポレーションに入社。入社から8年間、年間200本を超える高校生への進路講演、教員向けの研修会、大学受験情報の分析などを行いながら、学校改革支援に従事する。2008年5月、米国のトップ大学を目指す少数精鋭の進学塾「ルートH」開校。3期生までで10名の卒業生を輩出し、米ハーバード大に5名、米イェール大に3名等、高い合格実績を残す。ソーシャルイントラプレナー(社内起業家)として、現在7つの新規事業プロジェクトを担当。

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