ハーバード生も泣く、リーダーシップ論 「今、ここで成功のすべてを捨ててしまいなさい」

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「伊藤さんも、IT企業を起業したり、投資家をやったりする過程で、失敗を繰り返しながら、新しいものを生み出してきた。僕も『失敗を巧みに避けていく人生ではなく、自ら進んでリスクを取り、新しいことにチャレンジし続けていく人生を送りたい』と、強く思うようになりましたね。」

伊藤さんとの出会いは、笹本さんの人生のコンパスの方向性を間違いなく変えたようだ。

自分の信念をさらけ出す授業

ハーバードビジネススクール:ハーバード大学の経営大学院。世界最難関のビジネススクールの1つ。1908年創立。 圧倒的な知名度、ブランド力、経済界への影響力を誇るビジネススクールの雄。 http://www.hbs.edu

伊藤さんとの出会いから、ほどなくして、笹本さんは忘れられない授業に出会う。

ニン・シエ教授の「Leadership and Corporate Accountability」(リーダーシップと企業の倫理)という授業だ。

この授業では、「経済」「法律」「倫理」の3つを軸にビジネスリーダーの社会的な責任について学ぶ。ディスカッションをするための事例として使われるのは、実際にリーダーが「倫理的にグレーな決断」を迫られたリアルな事例だ。

そうした事例に対し、学生は、自分たちの経験や人生哲学を忌憚なく語る。

例えば、投資銀行で働いている新入社員が上司から「偽物のデータをファックスで送れ」と命令されたケース。

クライアントは投資銀行の提案内容に疑問を持っていた。納得させるために、上司は偽物のデータを送れという。上司は自分を特別枠で採用してくれた恩人。この命令を断れば、間違いなくこの会社でのキャリアは終わる。自分が新入社員だったら、どうするか。

 

「ハーバードでは、こういうとき必ず、事例と同じような経験をした当事者がクラスにいます。この授業の場合は、リーマン・ブラザーズを解雇された経験を持つ人がいた。

そして、『たとえクビになったとしても上司の命令には従わない、と主張するのは簡単だと思う。でも実際にクビになったことのない人間には、この選択の本当の重みは分からない。倫理的に正しいことがまかりとおりほど、世の中は単純ではない』と発言したんです」

イラク戦争で米軍部隊を率いていた隊長が、難しい決断に迫られたケースが取り上げられたこともあった。

隊長の目の前には、爆弾がしかけられた家。そこには3人のイラク人がとり残されていることが分かっている。自分がもしこの隊長だったら、自分の部隊の命のリスクを冒してまで、イラク人を救うべきかどうか。

 

このときは、アフガニスタンに駐屯した経験のある元米軍兵士が発言した。

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