神様からジャンクになったOEM

マイクロソフトとの関係が急変

「IT・ネット温故知新」では、歴史を紐解くことでIT・ネットの未来を見通すコラムを週1ペースで連載していく。第2回のタイトルは「神様だったはずのOEM」。ウィンドウズパソコンを製造するヒューレット・パッカード(HP)、レノボ、東芝などのメーカー(マイクロソフト社内では「OEM」と呼ばれている)についての話だ。

言うまでもなく、マイクロソフトのプログラマーが書き上げたソフトが意味を持つのは、ハードがあるからだ。「ソフトなければただのハコ」という言葉があるが、逆もまた真なり。「ハコがなければただのプログラム」なのだ。そのためマイクロソフトにとってOEMは文字どおり「神様」だった(ここで言う神様とは、三波春夫の名セリフ「お客様は神様でございます」の神様)。

しかし現在、神様はお荷物扱いされている。お膝元の米国ではそれが営業政策に顕在化している。マイクロソフトはアップルストアに対抗するため米国内で直営店「マイクロソフトストア」を運営しているが、ここで大人気なのが、「マイクロソフト・シグネチャー」(マイクロソフトお墨付き)というサービスだ。これはOEMが独自の工夫で入れたソフトを除去するサービス。ベルビュー店の店長はこのサービスについて次のように説明してくれた。

「OEMは多くのソフトをプリインストールして販売しています。こうしたジャンクソフトがパソコンの不具合につながる。マイクロソフトストアではジャンクソフトを取り除いて販売しています。有料(1台100ドル)で持ち込みパソコンにも対応しており、アップルのマックも受け付けています」

なんと、「ジャンク」とはっきり言い切った。OEMが独自開発して挿入しているソフトといえば、パソコンの使い方を指導するチュートリアル、マルチメディア再生ソフト、バッテリー管理ソフト、音声認識ソフトなどが代表的。それ以外に、他のソフトウエアメーカーからインセンティブをもらって搭載するアプリケーションソフト、ユーティリティソフト(ウイルス対策ソフト)などがある。こうしたジャンクが悪さをして、マイクロソフトの目指すユーザー体験を阻害しているため、除去してしまうというのだ。

禁断の果実「アップル」で世界が変わった

各パソコンメーカーが独自の工夫をすることを許しつつ、譲れない互換性部分をキッチリ維持するのがマイクロソフトマジックだった。また、不具合が起きても、目くじらを立てず、「ウィンドウズだから仕方がないな~」と笑って許すのがユーザーの作法だった。

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