神様からジャンクになったOEM マイクロソフトとの関係が急変

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 最新
拡大
縮小

「IT・ネット温故知新」では、歴史を紐解くことでIT・ネットの未来を見通すコラムを週1ペースで連載していく。第2回のタイトルは「神様だったはずのOEM」。ウィンドウズパソコンを製造するヒューレット・パッカード(HP)、レノボ、東芝などのメーカー(マイクロソフト社内では「OEM」と呼ばれている)についての話だ。

言うまでもなく、マイクロソフトのプログラマーが書き上げたソフトが意味を持つのは、ハードがあるからだ。「ソフトなければただのハコ」という言葉があるが、逆もまた真なり。「ハコがなければただのプログラム」なのだ。そのためマイクロソフトにとってOEMは文字どおり「神様」だった(ここで言う神様とは、三波春夫の名セリフ「お客様は神様でございます」の神様)。

しかし現在、神様はお荷物扱いされている。お膝元の米国ではそれが営業政策に顕在化している。マイクロソフトはアップルストアに対抗するため米国内で直営店「マイクロソフトストア」を運営しているが、ここで大人気なのが、「マイクロソフト・シグネチャー」(マイクロソフトお墨付き)というサービスだ。これはOEMが独自の工夫で入れたソフトを除去するサービス。ベルビュー店の店長はこのサービスについて次のように説明してくれた。

「OEMは多くのソフトをプリインストールして販売しています。こうしたジャンクソフトがパソコンの不具合につながる。マイクロソフトストアではジャンクソフトを取り除いて販売しています。有料(1台100ドル)で持ち込みパソコンにも対応しており、アップルのマックも受け付けています」

なんと、「ジャンク」とはっきり言い切った。OEMが独自開発して挿入しているソフトといえば、パソコンの使い方を指導するチュートリアル、マルチメディア再生ソフト、バッテリー管理ソフト、音声認識ソフトなどが代表的。それ以外に、他のソフトウエアメーカーからインセンティブをもらって搭載するアプリケーションソフト、ユーティリティソフト(ウイルス対策ソフト)などがある。こうしたジャンクが悪さをして、マイクロソフトの目指すユーザー体験を阻害しているため、除去してしまうというのだ。

禁断の果実「アップル」で世界が変わった

各パソコンメーカーが独自の工夫をすることを許しつつ、譲れない互換性部分をキッチリ維持するのがマイクロソフトマジックだった。また、不具合が起きても、目くじらを立てず、「ウィンドウズだから仕方がないな~」と笑って許すのがユーザーの作法だった。

次ページイノベーションをリードした日本のOEM
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
パチンコ業界で「キャッシュレス」進まぬ複雑背景
パチンコ業界で「キャッシュレス」進まぬ複雑背景
イオン、PB価格据え置きの「やせ我慢」に募る憂鬱
イオン、PB価格据え置きの「やせ我慢」に募る憂鬱
「イトーヨーカドー幕張店」激戦区の大改装に差した光明
「イトーヨーカドー幕張店」激戦区の大改装に差した光明
半導体需給に変調の兆し、歴史的な逼迫は終焉?
半導体需給に変調の兆し、歴史的な逼迫は終焉?
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT