12月17日は週刊東洋経済臨時増刊「マイクロソフト・逆襲のシナリオ」の発売日。その巻頭言でも記したが、パーソナルコンピュータ革命から初期のインターネット革命を主導した人たちは、ある時期に集中的にこの世に生を受けた。それは1954~1956年だ。
アンチ・マイクロソフトの両雄
この世代をとりあえず「55(ゴーゴー)世代」と呼んでみる。76年前後に生まれた日本のネットベンチャー経営者が「ナナロク世代」と呼ばれていたが、それより説得力がある。なにしろ、ゴーゴー世代には、誰もが納得する多くのヒーローが集中しているのだ。
ゴーゴー世代の中でも燦然と輝く一番星が1955年10月生まれのビル・ゲイツだ(敬称は省略)。すでにマイクロソフトの経営の第一線から引退したものの、ゲイツはゴーゴー世代を代表する不動の大横綱といえる。ポリオワクチンでアフリカの子供たちを救う活動を長らく続けており、いまや人道支援の大立者としても、名が通っている。
アンチ・マイクロソフトの主役も、ゴーゴー世代だった。玄人好みの実力者だったのがサン・マイクロシステムズ(現在はオラクルの一部門)のスコット・マクニーリー(54年11月~)である。そして、人生の最終章でライバルのマイクロソフトに一泡吹かせたのがアップルのスティーブ・ジョブズ(55年2月~2011年10月)だ。
90年代後半、多くの記者はマクニーリーの舌鋒鋭いマイクロソフト批判が大好きだった。その批判はこんな調子だ。「自動車はアクセルが右にあり、ブレーキが左にある。これは人類共通の了解事項だ。言葉を話す場合の文法だってそう。自分が話をするときに、いちいちある会社にライセンス料を払う必要があったらどう思うか。しかしコンピュータの世界では、そんなおかしなことがまかり通っている。マイクロソフトはコンピュータにおける文法を独占し、そこから利益を得ている。いかに不公正な会社であるかがわかるだろう」。
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