12月になって、アップルCEOのティム・クック氏が、CEO就任から16カ月目にして初めてメディアのインタビューに応じた。これまでの米国IT業界の伝統であれば、WSJの名物コラムニストで重鎮のウォルト・モスバーグ氏あたりがインタビューすれば自然なように感じるのだが、そうではなかった。アップル幹部のスコット・フォーストール氏の退社に関し、内部情報を元にした辛らつなコラムを書いたためかもしれない。
インタビュー出演は苦しさの表れ?
クック氏が初めて出演する媒体に選んだのは、映像媒体がNBCの「ロックセンター・ウィズ・ブライアン・ウィリアムズ」、紙媒体が「ブルームバーグ・ビジネスウィーク」だった。両インタビューとも、12月6日に公開された。
インタビューの内容はウェブサイトでも読むことができる。NBCについては「Apple CEO Tim Cook announces plans to manufacture Mac computers in USA」ブルームバーグ・ビジネスウィークについては「Tim Cook's Freshman Year: The Apple CEO Speaks」に詳細が掲載されている。
前任の故スティーブ・ジョブズCEO以来、アップルはインタビューを好まない会社だ。それにもかかわらずクック氏がインタビューに登場した理由は、「伝えたいことがあるから」だ。よくありがちな、「マスコミから強い依頼があったのでお付き合いで出ました」という類のものではない。主導権を握っているのは、あくまでアップル。そこがメディア泣かせなところなのだが、花形企業ゆえに仕方がない。
が、今回のメディア出演は、苦しさの現われともいえる。アップルにはここのところ逆風が吹いている。成長鈍化の予測、iOS開発の責任者であるフォーストール氏退任など、次々にネガティブな材料が続出し、アップル株は9月の700㌦台をピークに急落。11月には500㌦にまで落ち込んでいた。
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