年明け最初の「IT・ネット温故知新」は、新年早々にアメリカのネバダ州ラスベガスで行われる大イベントについて考えてみる。日本からも多くの企業が出展し、年明け早々にもかかわらずたくさんのジャーナリストが集まる「インターナショナル・コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES、直訳すると国際家電展示会)」のことだ。
ビル・ゲイツが主役だった
全米家電協会(CEA)が主催するこのイベントは、1967年の第1回以来の長い歴史を誇っている。現在、家電業界の代表的な展示会としては、1月に行われる米国のCES、9月にドイツ・ベルリンで行われるIFA(国際ラジオ展示会)がある。
この2つのトレードショーが、規模と影響力の大きさを競っている。
今年のCESは、1月8~11日までの4日間行われる。いつもどおり、新年にラスベガスで行うわけだが、今年は15年ぶりに変わることがある。昨年までの15年間は、開催前日夜にマイクロソフトのトップによる特別講演があったが、今年はそれがない。マイクロソフトがCESから撤退したためだ。
1990年代後半まで、マイクロソフトが参加するもっとも重要な展示会はCESではなかった。同じラスベガスで開催されるコンピュータ業界に絞った展示会であるCOMDEXを重視していた。1995~2001年はソフトバンクの傘下にあったため、一時期、開幕時の挨拶を孫正義氏が行っていたこともある。
話が脱線するが、なぜソフトバンクはCOMDEXを買収したのか。東京電機大学の脇英世教授は次のように推測している。「孫さんはビル・ゲイツのキーノート(基調講演)の会場に入れずに困っていた。私が入るのを見て、『なんで入ることができたんですか』と言うから、『出版社なのだから記者として登録できるはずでしょう』と教えてあげた。私自身も記者として登録していたので。しかし、翌年には買収を終えており、誇らしげに主催者席に座っていた。キーノートを最前列で聞きたいから買収したのだろう」。
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