「プロに入って、ボールにバットが当たらなかったんですよ。バーンと振っても当たらないので、まずは当てなきゃというところから始まった。2軍のピッチャーでもフォークを投げる人もいれば、緩急を使える人もいます。1軍には外国人もいますし、本物の長距離バッターがいる。僕は何とか1本のヒットを打たないと、2軍でも試合に出られない。打率を上げないことには話にならなかった」
懸命にバットを振り込んだ栗山は、センターからレフト方向への打撃を身に付けた。そうして08年、リーグ最多の167安打を放ち、同4位の打率3割1分7厘を記録した。
だが翌年、成績が下降する。打率はリーグ22位の2割6分7厘で、チームは4位に沈んだ。
迎えた10年シーズン、栗山は発想を転換した。2番打者という役割を与えられ、とにかく出塁数を増やそうと考えた。具体的に掲げた目標は、四球の数を増やし、三振を減らすことだった。
長打への欲求
「09年を振り返ったら、三振が多くてフォアボールが少なかったので、そこを逆転させれば、いい形の打撃になっていくと思いました。09年があったから、10年はこうなったということですね。09年にもう少しいい成績を残してチームに貢献していれば、10年は違ったスタイルで臨んでいたと思います。絶対に優勝争いをしなくちゃいけないと考えて、個人としても絶対にチームに貢献したいという思いがあった」
09年と10年の成績を比べると、四球は53→80、三振は106→69。栗山は2つの目標を達成すると同時に、打率をリーグ11位の3割1分に上昇させた。
そして翌年、次のステップに進む。09年に好成績を残せず、10年シーズンに封印したもの――長打への欲求を表すようになった。
「僕は外野手なので、長打を打てないとダメ」
冒頭で述べたように、外野は守備の負担が少ないポジションだ。DeNAのラミレスやヤクルトのミレッジのように、守備より打撃に特徴のある外国人を置くチームもある。近年では12年シーズンに最多安打を獲得した長野久義(巨人)や盗塁王に輝いた大島洋平(中日)のように、攻守ともハイレベルな選手の台頭が目立つものの、「まずは打てなければダメ」というポジションなのだ。
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