日本人が抱く「外資系企業」への大いなる誤解 婉曲で不自由でウェットな職場がそこにある

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信頼関係を築くのには時間がかかりますが、崩れるのはあっという間です。異文化のなかに身を置いて仕事をするときは、一瞬たりとも気を抜けません。

勘違い3:仕事中に「雑談」をすることは考えられない

外資系では「無駄話」をしている時間はない。そんな誤解もあるようです。確かに業務時間には集中して仕事に取り組みます。残業は少なく、夕方になればパッと帰ります。しかし、だからといって、「忙しさ」をアピールするような人はいません。幹部であればなおさらです。

ベーリンガーインゲルハイムでは年2~3回、ドイツ本社で世界各地の役員を集めた会議を開いています。本社の役員と直接コミュニケーションをとれる貴重な機会です。そこで、こちらから面会の依頼をすると、幹部の人たちは必ず時間を割いて会ってくれます。

こちらも相手が多忙なことはわかっているので、要点を話して早めに切り上げるために、急いで本題に入ろうとするのですが、すると「最近の日本はどうですか?」と雑談を切り出されるのです。

私は「逆の立場だったら同じように対応できるか」と思います。次の会議や訪問客のことが気になってしまい、「時間がない」「忙しい」ということを体で表してしまうかもしれません。

どれだけ多忙な幹部でも、「How are you?」「How was your flight to Germany?」というゆっくりしたあいさつから会話が始まります。慌てることなく、礼節を重んじる。そうした姿勢に触れるたびに、私は「人間としての心のゆとり、深みが違う」と感心します。圧倒的に大人なのです。

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