北方領土問題は結局どのように落ち着くのか 日本が行うべきことは、はっきりしている

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美根:プーチン大統領は政治的な力があり、国民の70%から支持されています。国内政治はもちろん、対外的にもウクライナとの紛争でも一歩も退かない。シリアでも空爆をする。ロシア側に明らかに非があっても退かないから支持率が高い。

木本:強いロシアを復活させたから支持されている。

美根:北方領土問題に関して、プーチンさんが強いから交渉を進められるだろうというのは、あまりにも甘い考えです。

木本:物わかりのいい顔を見せない人だからこそのプーチン人気。キャラ的にも、北方領土だけ弱腰にはなれないという理解ですね。

美根:ただ、ロシアの専門家によれば、指導者が「実は何々だった。こうするよ」と言えば、国民はついてくるところがあるそうです。日本では、積み上げを重視しますから、トップダウンですべて進めるのは無理ですが、ロシアでは可能性があるということです。

チャンスはプーチン大統領の後の指導者

木本:指導者が変われば北方領土問題の解決もあるかもしれないと。

美根:プーチンの政治力が強いからと、彼が大統領の間に何とかまとめようとすると、かえって失うものが大きくなるのではないかと思います。ですから、解決の意欲もあり、政治力もある人が出てくるのを待つのがいいと思います。

木本:では、プーチンさんが大統領である今、日本がやるべきことは距離を保つことなんですか、離さないように。

美根:1つ言えるのは、解決すべき政治問題がどこに存在するかをはっきりさせ続けることです。これは、指導者の頭に入っているようで、必ずしもそうでないことがあります。特に強い指導者がいるときには、下は上に対して都合のいい情報ばかりを上げがちになりますから、プーチンさんの耳に達していない可能性もあるわけです。ですから、トップ同士が細かいことであっても事実関係に即した議論をして、交渉していくことが大事です。いまはボディブローを撃つ段階ですね。

木本:体力を失わないようにボディブローを撃つ感じですね。スタミナをつけていかないといけませんね。

美根:ボディブローだけだと、立場が違う人からは「北方領土問題を重視していない」と言う人もいますので、なかなか一筋縄でいかないのですが。

木本:とてもわかりやすく教えていただいて、ありがとうございました。

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