「起業家教育」に熱心な学校の学力が高いワケ 積極性が高まることのインパクトは大きい

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上記の調査とあわせて、経済産業省では起業家教育モデル事業を冒頭の青梅市立第三小学校を含め、全国14校で実施しました。実施校の児童や保護者からは、以下の声が上がっています。

<児童の声>

「最初は自分たちにできるか不安だったが、多くの人の協力で実現できて、やればできると思った」

「相手に言葉で伝えることが苦手だったが、授業を通してできるようになった」

「終わった後はやりがいを感じた。またできたら、社長として取り組んでみたい」

<保護者の声>

「はじめは小学生が販売活動?と疑問に思っていましたが、活動の中で、相手の立場に立って考えること、自分の得意なことを活かすことを学んだようです」

「性格的になかなか発言が苦手な我が子ですが、自分の考えを話す機会を持てたことで自信がついたよう。頼もしく感じました」

「社会人となった時には、答えのない世界で『どう考え、意見をまとめ、決断するか』が必要となるので、いい勉強の場をいただきました」

短い時間でも効果が現れる

一方、アンケート調査において起業家教育を実施していない小中学校では、「起業家教育にあてる時間を確保できない」ということが、最大の問題としてあげられています。しかし、調査結果では、このような学校にも朗報があります。

上記アンケート結果の「チャレンジ精神、探究心、自己肯定感」の項目は、起業体験など10時間以上の時間をかけるプログラムを実施した際に効果が高まる傾向がありますが、その半面、「何のために学ぶのかの理解、進路への関心・意欲」の項目については、起業家・経営者の講演など、2時間以下のプログラムでも効果が向上することが分かりました。

まずは、起業家や経営者など、事業に挑戦する大人の姿や想いを児童・生徒に聴いてもらうだけでも、大きな効果があり、最初のステップとしてこのようなことからはじめると良いと考えられます。

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