起業家の話を聴いたり、起業や会社経営の疑似体験をしたりする起業家教育が、実践的な教育の手法として注目されています。経済産業省では、全国の小中学校5583校に対して、起業家教育の実施状況とその効果について調査するとともに、14校でモデル事業を実施しました。本稿では調査結果等を参考としつつ、起業家教育の意義について記載します。
小学生の会社が快進撃
1万7000人の市民ランナーが参加した青梅マラソン。この大会で小学生が経営する会社が「青梅マラソンオフィシャルストラップ」を販売し、大好評のヒット商品になりました。この試みは青梅市立第三小学校(佐藤広明校長)で、起業家教育の一環として行われたもの。
青梅の魅力を商品化するという目標のもと、5年生の児童133人が取り組みました。商品は青梅名産のヒノキを材料にした携帯ストラップ。かわいらしいデザインです。会社設立、資金調達、商品企画、地元企業への商品発注、販売など、大人の指導を受けつつ、児童中心で取り組みました。1200個のストラップを販売し、見事完売。利益を上げることもできました。利益は、社員みんなで使い道を考え、ヒノキの記念プレート、みんなが使えるボール、社会貢献としての寄付などに使います。
小学生会社「ヒノキコーポレーション」社長の黒田将平君(11)、副社長右田歩美さん(11)は、「自分たちが考えたものが商品になっていくのがうれしかったし、商品で青梅の紹介ができてよかった。販売のとき、工夫をしたらたくさん売ることができた。お金の取り扱いが難しかったけれど、勉強になった。もしできるならもう一度、今度は服やタオルを商品化してやってみたい」と話していました。
郷土愛とチャレンジ精神を育む起業家教育。それでも、昨年4月に青梅に赴任した佐藤校長は、ゼロから起業家教育を導入するのはたいへんだったと語ります。
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