アベノミクスを構成する3本の矢は、「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間の力を引き出す成長戦略」。第3の矢にあたる「成長戦略」の政策の柱のひとつが「産業の新陳代謝とベンチャーの加速」です。成果指標として、新規企業の開業率を現在の5%から10%台に倍増する目標が掲げられ、現在、さまざまな支援策が実施されています。
6月24日に閣議決定された「日本再興戦略 改訂版2014」においても、日本の「稼ぐ力」を取り戻すというスローガンの下、①「ベンチャー創造協議会」の創設によるオープンイノベーションの推進(大企業からのベンチャー創出を含む)、②政府調達の増加や創業者向け雇用保険等の制度改革、③起業家教育の強化やベンチャー表彰(内閣総理大臣賞)の創設等による国民意識の改革――といったベンチャー支援の強化が盛り込まれました。
ベンチャー有識者会議での活発な議論
この成長戦略の改訂に際し、経済産業省の施策の骨格を形成したのは、2013年12月から茂木経済産業大臣の諮問会議として開催された「ベンチャー有識者会議」です。本稿では、この会議での議論を基に日本のベンチャーの課題と今後のベンチャー政策の展開について概観していきます。
ベンチャー有識者会議は、茂木大臣と第一線で活躍する委員が直接対話するという形で進行しました。委員はWiLCEOの伊佐山元氏、MOVIDA JAPAN代表の孫泰蔵氏、経営共創基盤代表の冨山和彦氏、DeNAファウンダーの南場智子氏、早稲田大学ビジネススクール教授の長谷川博和氏、和える 社長の矢島里佳氏。ドリームチームともいえるこの豪華メンバーに加え、大企業の新事業担当役員、大学生・高校生の起業家などのオブザーバーを交えて活発な議論がなされ、その結果は4月に報告書(ベンチャー有識者会議とりまとめ)に結実しました。
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