アベノミクスの成長戦略改訂版では、「産業の新陳代謝とベンチャーの加速化」が政策の柱の一つに掲げられ、ベンチャー支援の更なる強化が図られています。その支援策の中心となるのが「ベンチャー創造協議会」の創設です。これまでの政策と違い、大企業も含めた日本経済全体でのベンチャー創造を図ります。
本稿では、ベンチャー創造協議会によるベンチャーと大企業との連携、大企業発のベンチャー創出の試みについて説明します。
大企業とベンチャーの連携気運の高まり
2014年1月29日、大企業とベンチャー企業のマッチングイベント「新事業創出カンファレンス」が、経済産業省の主催で開催され、新宿の会議場に1000人を超す参加者が集まりました。
まず茂木敏充経済産業相が「ベンチャーは大企業の経営資源やネットワークで成長を、大企業はイノベーションの種を得て新しい発展を」と挨拶。LIXILグループの藤森義明社長による講演、ベンチャーキャピタリスによるパネルディスカッションが続きました。
そして、NEC、キッコーマン、クレディセゾン、KDDI、セブン&アイ、大日本印刷、ノーリツ鋼機、ベネッセ、三井物産グローバル投資、三菱ケミカルの社長・新事業担当役員が、ベンチャー企業に対して、大企業との連携を呼びかけるプレゼンテーションを行いました。夕刻には、TOKYOイノベーションリーダーズサミットと銘打った大企業82社の役員(経済界リーダー交流組織「SEOU会」メンバー中心の有志)とベンチャー402社のマッチング会が、民間団体主導で挙行されました。
ベンチャー企業は、3分交替で予め希望していた企業との面談ができます。「優れたベンチャーと出会えた、新事業開発のやり方を見直そうと思った」との大企業の声とともに、ベンチャー側でも「窓口で止まるのでなく、責任ある方と直接話ができて良かった」との感想。866件の面談の内、465件が次の段階の商談へ進みました。
このイベントでプレゼンテーションをした企業をはじめ、近年、ベンチャーとの連携に取り組む大企業やそれを支援する取り組みが増えています。次ページではその具体例を紹介します。
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