このところ、ビジネス媒体でパソコンについて取り上げる機会は、その多くがネガティブなものだ。
市場の縮小、粉飾、事業統合などなど、まるでパソコンという商品が終わったかのような印象を受けるが、ハードウエアとしてのパソコンの進化はとどまることを知らない。とりわけ最新世代のインテルプロセッサ搭載パソコンは、高性能なだけではなく消費電力が抑えられ、軽量なモバイルノートPCでもスペックで10時間前後。ガッツリと仕事をし続けて8時間ぐらいは問題なく使える製品ばかりだ。
こうした最新型の製品に乗り換えれば、パソコンと一緒にACアダプターを持ち歩いている人も、ACアダプターなんていらないよ!と言い始めるかもしれない。
パソコンの寿命が延びている
しかし、パソコンが高性能になってきたことに加え、アプリケーションの価値がどんどんクラウドへと溶け出している中、数年前のパソコンを使っていても、さほど性能への不満はないという人が多いのではないだろうか。パソコンへの買い換えサイクルが長くなってきている中、現実的には“もっと便利な”ACアダプターをというニーズは、いまもなお根強いと考えられる。
と同時に、ACアダプターに使う部品や設計技術の進歩によって、より小型のACアダプターも実現可能になってきた。勘のいい人ならば、少しずつではあるが、同程度の性能・サイズのパソコンに使うACアダプターが、以前より小さくなっていることに気付くかもしれない。
2014年にはMIT(マサチューセッツ工科大学)の学生達が企業としてFINsix社を設立。「Dart」という超小型ACアダプターを発表して話題になった。その後、Dartの開発は困難を極め、昨年1月には発売済みのはずが延期となり、昨年半ばにはさらに発売延期。今年春には少しずつ、クラウドファンディング「Kickstarter」の支援者に製品の出荷を始めるという。ちなみにこのDart。その設計をLenovoがライセンスして、一部の製品に採用を始めている。
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