キャッシュフローの大きい映像事業や映画・音楽事業、最近であれば金融などに比べ、オーディオ事業は、ソニーの事業ポートフォリオの中で目立つ存在とは言えないかもしれない。しかし、振り返ってみるとかつて”ソニーらしい”と言われた製品には、オーディオ製品が多い。
週刊東洋経済本誌で、今なお残るソニーならではの製品をいくつかピックアップしてほしいとの依頼があった(1月30日号)。その中でも1つだけ取り上げるとしたら、今回紹介する製品「MDR-Z7」だ。
全盛期のソニーを想起させる商品
”ヘッドホン”はもともとソニーが得意としてきた商品ジャンルだ。ヘッドバンドで固定するいわゆるヘッドホンは言うに及ばず、イヤホンを高音質・ステレオ化して普及させたのもソニーだ。数年前まではカジュアルさやデザインの斬新さに傾倒しすぎではないかと思う時期もあったがMDR-Z7は全盛期のソニーを想起させる商品に仕上がっている。
ソニーに限らず、日本のオーディオ&ビジュアル製品メーカーは”音や映像の質”という、感性に触れる領域に商品性を見いだしつつも、しかし量産製品として安定した質を購入しやすい価格で提供するところに価値を見いだしてきた。
そうした中にも高価な製品もあれば、低価格な製品もあるため一概には言えないが、これはそう簡単なことではない。とりわけ音質は、CADや測定技術が発達した現在でも、実際に音を出し、エンジニアがその音を感じてより良い音質へのチューニングを施していかねばならない。
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