「全盛期のソニー」を感じるヘッドホンの実力 エンジニアの魂が込められている商品

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年間100台前後しか作らないようなブランドならば、それでも一つひとつを丁寧に作り込んで届けることもできるだろう。しかし数万、数10万となると難しさが伴う。生産にともなうバラツキを抑えながら、いかに音質を整えて顧客に届けるか。日本のオーディオメーカーが、かつて世界中を席巻した背景には、そうした要素が少なからずあった。

中でもソニーはハイエンド、あるいは超ハイエンドのオーディオマニアからは敬遠されながらも、音質をきちんと整えた製品を量産するノウハウを持ち続けてきた。そうした地味ではあるが、企業価値を継承する取り組みをしてきた結果が、たとえば昨年末にはCAS-1という、カジュアルでありながら高品位のオーディオ体験ができるコンパクトオーディオシステムなどを生んでいる。

ハイレゾオーディオに対応

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そんなソニーのオーディオが復活の狼煙を上げはじめたきっかけは、”ハイレゾオーディオ”をキーワードにした、ネット配信によるCD音質を越えたオーディオコンテンツ配信と対応機器をセットにしたプロモーションプログラムだった。

たとえば、TA-A1ESという商品はプリメインアンプというオーディオ製品で言えばど真ん中の製品。税別21万円という希望小売価格はオーディオファン以外には高く感じるだろうが、そのすばらしく鮮度の高い音はオーディオファンを唸らせた。もう少しコストをかけて外装や電源を整えてやれば、100万円でも通用するかもしれない。

と、いろいろソニーのオーディオ製品には隠れオススメ製品がいくつかあるのだが、MDR-Z7を選んだのは”ギリギリ手が届く範囲で、しかしハイエンドに近い体験が得られる”という、黄金時代のソニーが持っていた価値を体現していると思うからだ。

オープン価格のMDR-Z7はおよそ5万5000円ほどの実勢価格。ヘッドホンの売れ筋は1万円以下から高くとも2万円程度。かなりの高級品だが、どんなジャンルにも上には上があり10万円以上はもちろん30万円クラスの製品も世の中にはある。

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