異様!これが21世紀型「無音ダンスクラブ」だ 音楽が鳴り響かない空間で好き勝手に踊れる
最近の金曜夜、日が沈んだばかりの (マンハッタンの)サウス・ストリート・シーポート地区で、「これは沈黙フラッシュモブ?」「それとも集団ジェスチャーゲーム?」と首をかしげるような光景が繰り広げられた。石畳の広場が仕切られて、300人くらいが踊りまくっていたのだ、音楽なしに。というか、音楽なしに見える形で。
実はそこでは3人のディスクジョッキー(DJ)が、聴き手の奪い合いを演じていた。ただし音楽はワイヤレスのヘッドホンからしか聞こえない。参加者は思い思いにチャンネルを選び、DJ3人のうち誰のチャンネルを聴いているかによって、それぞれのヘッドホンが赤、青、または緑色に光る。
これは「サイレント・ディスコ」と呼ばれる現象だ。コーチェラ、ボナルーといった野外音楽祭や、バー、結婚式場などで、どんなに盛り上がっても騒音条例や時間制限を守れる方法として広まってきた。または大学構内なら、勉強中の学生たちの邪魔をしないようにと。
いろいろ好都合
クラブ遊びはしたいが、一晩中ひとりのDJに振り回されるのはごめん、という人向きだ。しかも各自がヘッドホンで音量を調整できるため、翌朝になっても耳鳴りやのどの痛みを心配しないで済む。
「クラブだと音楽のボリュームが大きすぎる」と、友達7人と一緒にペンシルベニア州から車で来たアンドレ・コッペッジ(38)は言う。「これならずっと楽しんでいられる。気に入らない曲になったら周波数を変えればいい」。