深夜のクラブは有望なコンテンツ発信拠点だ 風営法改正を"改悪"としてはならない

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衆院を通過した風営法改正案。今後の焦点は「遊興」の定義だ(XiXinXing/PIXTA)

5月27日、審議入りしていた衆議院内閣委員会において、ナイトクラブを含むダンスをさせる営業への規制を緩和する「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)の一部を改正する法律案」が可決された。今後は衆議院本会議を通過した後、6月中にも参議院での審議が始まる見通しだ。

このまま成立すれば、約一年後の施行となる。多くの人々の積極的な働きかけによって実現した大きな一歩だが、新たな規制基準となる「遊興」の定義や立地規制についての問題を解決するための取り組みは、依然として重要になる。

新たに「特定遊興飲食店営業」を設置

1948年に風俗営業取締法として制定され、今日までに30回以上の改正を経てきた風営法。現行法では、クラブなどが「客にダンスをさせる営業」を行う場合は営業許可を取得する必要があるうえ、許可を受けたとしても深夜営業は認められていない。

当記事はTime Out Tokyoの提供記事です

ただクラブなどは深夜が「書き入れ時」なこともあって、一部店舗は深夜以降も営業を続け、警察側もこれを黙認してきた。ところが、2010年の大阪アメリカ村での一斉摘発以降、警察側が摘発に乗り出したことで、多くのクラブが閉店に追い込まれた。摘発は時代錯誤な規制を敷く現行法の問題点を浮き彫りにし、以降、一部の事業者やアーティストたちは連携して現状に即した法改正や規制緩和に向けて訴えを続けてきた。

2014年10月24日に政府が閣議決定した改正案では、法律から「ダンス」の文言が消え、クラブ営業は店内の明るさや営業時間に応じて、新設の「特定遊興飲食店営業」を含む3つの類型に分けられることになった。

10ルクス(映画館の休憩中の明るさ)以上の照度を満たす場合は「風俗営業」の対象から外し、深夜営業を行わない店、または酒類を提供する場合は今回新たに設けられた「特定遊興飲食店営業」に分類される。

一方、照度が10ルクスを下回る場合は、「低照度飲食店営業」に分類され、風俗営業として現行どおり規制されることとなった(その後衆院が解散したため、いったん廃案となったが、今年3月3日に改めて閣議決定された)。

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