深夜のクラブは有望なコンテンツ発信拠点だ 風営法改正を"改悪"としてはならない

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ただし、改正案に対する懸念もある。こうした中、5月22日に早稲田大学で行われた『緊急シンポジウム これでいいのか?ダンス規制法改正』に有識者が集まり、現状や対策について最新の議論を行った。

今回、「ダンス」が規制事項から消えることで新たなキーワードとなる「遊興」。この「遊興」の解釈の如何が、改正案を悪法にしないためのひとつのポイントとなる。

コンテンツ発信拠点としてのクラブの役割

同シンポジウムに登壇した国際刑法学者で京都大学の高山佳奈子教授は、「遊興」という単語の起源について「遊興の定義の手掛かりとしては、かつてあった”遊興飲食税”の中に遊興という言葉が登場する。これは、芸者の花代に対してかかる税金。また、現行法の中では”更生保護法”という法律の中でも遊興という単語は使われている。ここでは、”浪費をしてしまうような活動”を指す。こうした曖昧な解釈のままで法律が作られてしまうということが一番の問題」と述べた。

また、過去にダンス議員連盟の秋元司議員が警察庁に対し「遊興とは何か?」と質問した際は、生活安全局長が「警察庁の想定する”遊興”」について、「営業者の積極的な働きかけにより客に遊び興じさせる行為」として「音楽を流して不特定の客にダンスをさせる行為、不特定の客にダンス、ショー、演芸等を見せる行為、歌、バンドの生演奏を不特定の客に聞かせる行為、のど自慢大会等の不特定の客が参加する遊戯、ゲーム、競技等を主催する行為がこれに該当する」と回答した経緯もある。

これらを踏まえて、改正案がこれまで以上に広範で恣意的な規制を許すものになることを防ぐべく、オンライン署名運動も行われている。

改正運動に対して当初より奔走している斎藤貴弘弁護士が同シンポジウムで訴えたとおり、今回の改正が巨大なエンターテインメントの門扉を開くことに繋がることへの期待はこれまでにないほど大きい。また、個性的なコンテンツを育て、海外に発信していく拠点としてのナイトクラブの存在は前向きに想定されるべきものだ。社会全体にとってより実りのある改正とするために、いま一度この問題について考えてみてほしい。

(執筆: タイムアウト東京 三木邦洋)

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