スペイン人への共感が止まらない3つのワケ 勤勉でイノベーティブ!

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――女性も社会の一員として大きな役割を果たしていますか?

企業で女性役員も多く、政府の中にもたくさんいます。ある1日は長く働いて、ほかの日を短く働くなど、1週間で働く時間を考えることができる企業もあり、自分の状況に応じて柔軟な働き方ができるということもありますね。

女性の社会進出がより進んで家事分担になったのは25年以上前です。今の夫婦は家事を分担しています。女性がさらに多く働くようになり、より多くの収入を得るようになって、出張も多いと必然的に夫が子どもの面倒を見なければいけません。

お昼は14時前後、夕食は21時以降

――ビジネスの時間と言えば、食事の時間が日本より少し遅いですね。

昔から、昼食をとるのが14時ぐらいだったので、今でもお昼は14時前後です。そして、夕食は21時以降ですね。外で食事をしようとしても21時より前に開いているのは小皿料理でアペタイザーを出すタパスぐらいです。

ビジネスディナーも21時もしくは21時半ごろから始まります。そうするとその時間まで仕事ができるので、仕事の邪魔をしないのです。と、言ってもビジネスディナーもビジネスのうちなのですけどね。

ビジネスディナーでは、慣れてくれば「家族は元気ですか?」など家族のことを聞くことは問題ありません。と、いうよりもスペインでは人としての親しみやすさを出したほうがいいのです。スペイン人は家族のことをとても大切にしているので、「お子さんはどうしているの?」「旅行はどこに行ったの?」というようなことは、よく聞きます。

――ビジネスディナーが21時からということはスペインの人は勤勉ですね。

はい。勤勉という中でもスペインではイノベーションと柔軟性が求められ、それをプロ意識とコミットメントを持って行うことが必要とされています。「質の高さ」を重要視し、そのために厳しい基準を設けて、確実に実行しているのです。イノベーションデザインの力を生かし、プロジェクトを行う際に顧客のニーズに合わせた’Taylor-made’の提案をすることができます。

イノベーションは技術分野、マネジメント分野の両方で言えます。技術では航空管制システムや再生可能エネルギー、高速鉄道、環境社会インフラ(environmental infrastructures)、バイオテクノロジーなど多くの分野で、また、食の分野では伝統と新しい技術を融合させ、クリエーティブな作品を生み出しています。

マネジメント分野では一例として官民一体となってパートナーシップを結んで行うプロジェクトなどでもイノベーションの力が発揮されています。

またヨーロッパ人はもちろん、スペイン語という言語はもちろん、歴史的にも関わりがあるラテンアメリカ、地理的にも近い中東やアフリカなどと、さまざまなバックグラウンドを持った世界中の人ともうまく接することができます。スペインの人達は、世界中のどんな異なる文化や経済にも対応し、迅速に最適な方法を提案できるのです。

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