参加者それぞれが自分に都合のよい解釈をしないように、数値など事実ベースで問題提起するのがよいでしょう。たとえば、自分がいくつかのチェーン店を統括する立場にあり、売り上げ不振の原因が接客にあるという問題提起をする場合には、チェーン店の店長が「うちの接客は悪くない。ほかに原因があるのでは?」というそもそも論を言い出さないように、顧客アンケート結果と売り上げ不振の因果関係がしっかりあるという事実を見せるのです。
場合によっては会議前に個別にしっかりと問題共有の時間をとってから集まったほうがよいでしょう。会議の場で「そもそも」論を展開されては、ほかの人の時間を無駄にすることになってしまいます。
このギャップを埋めると、「興味・関心」、「理解」という2つのステータスがクリアされます。
「頭ではわかっても、心理的に無理」を変えるには
次はマインド・ギャップです。取り組まなくてはいけないことを頭ではわかっても、心が前向きになっていない状態です。「そういうのは1度もやったことがないから」「前にやったけどだめだった」「うちのスタイルにはあわない」、「自分にはメリットがない」「今より大変になるだけ」、「現実的じゃない」「(自分が主役じゃないので)面白くない」などなど……。こうした参加者の心に渦巻く多くの疑念や懸念を無視せずに向かい合い、応えていくことで「それならやってみたい!」というマインドになるまでギャップを埋めていきます。
ファシリテーターのスキルのひとつとして先ほど「プロデューススキル」をあげましたが、まさにここはプロデューススキルの出番です。主役だけでなく、適切なキラリとひかる脇役を配置し、参加者一人ひとりに見せ場や出番を作り、参加意識を植え付けていくのです。
技術的な部門の人には技術的見地からの見識を披露してもらう、役職についていない現場の人の声をクローズアップして会議で発表してもらう、上位者だけでなく部下や若手の見せ場を作るなどです。
中には反対をしたり不機嫌な態度をとって周囲に圧力をかける「困ったちゃん」もいますが、あえてその人をまとめ役や推進役にすることで、ほかの人の意見を聞かざるをえない役回りにするなどのテクニックがあります。
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