とはいえ、そのスキルの身につけ方はなかなか人からは教えてはもらえないものです。私も20代後半くらいからファシリテーション役を務めることが多くなりましたが、最初はなかなか進め方がわからず、プレゼン以上に苦労した経験があります。
たとえば業務改善を目的とする会議で、「そもそも何で私たちが集められたわけ?」「どうしてうちのオペレーションが問題だと言えるの?」など「そもそも」論に持ち込まれてしまって頭が真っ白になったケース。または、キャリアを重ね、ある程度ロジカルな説得が得意になってからは逆に「特に反対するわけではないけど、誘導尋問してないですか?」など強引さを非難されてしまう……などなど。
進め方の勘所がつかめず、うまく場の空気をひとつにできる先輩を見ると、いったい何が自分に足りないのだろうと悔しい思いをしたものです。
参加者の知恵と気持ちをひとつにする!
そんな私が「ファシリテーションとは何か」を明確に理解できたのは、企業変革を浸透させるためのチェンジマネジメント(変革管理)という方法論を学んだ時でした。以前の記事でご紹介した「利害関係者マップ」もこの方法論のひとつのツールです。
ファシリテーションとは、単なる司会進行テクニックではなく、人々の知恵を結集し、気持ちをひとつにまとめていくリード術です。
- 事象やテーマを説明するプレゼンスキル
- 問題を整理しまとめるロジカルシンキングスキル
- 斬新なアイディアを促すラテラルシンキングスキル
- 衝突を解消する説得、交渉スキル
- 参加者を活かすプロデューススキル
などが複合された“総合格闘技的”なスキルなのです。これを知った時に、何とも厄介なものながら、仕事をするうえで絶対に必要なスキルだと実感したのです。
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