「背中を見て覚えろ」では生産性は上がらない サービス業こそ「脳で汗をかく」ことが必要だ
前編はこちら:おもてなしは「方程式」で標準化できる
山口:いま、日本のサービス業のさまざまなところで、担い手の従業員を確保しにくくなっている問題がありますが、御社ポジティブドリームパーソンズ(PDP)では、従業員の採用や育成にはどんな方針で取り組んでおられますか。
杉元:自分たちの目指しているレベルのところまで採用力が上がっているかというと、正直、そうでもないなというところです。ただ、採用も重要なのですが、私は社員のことを「メンバー」と呼んで、同志のように思っています。その既存のメンバーの本気度であるとか、既存のメンバーがこの会社にとどまる意義をどう考えているか、といったことがとても重要だと考えています。
サービス業に足りない「脳で汗をかく」という発想
杉元:既存のメンバーと時間をしっかりとって、コミュニケーションする。目標設定も短めに、3カ月ごとに評価をして、3カ月ごとに上司によるフィードバックがあります。「感動星の会」というのがありまして、3カ月ごとに「キミのこういう努力に感動したよ」ということで表彰するのです。
渡すのはただのカードなのですが、金銭報酬でない報酬、ということです。そんな仕掛けをつくっています。メンバーからすると、自分が頑張ったことを誰かがいつも見てくれているということが、大きなモチベーションになるのです。誰も評価してくれなくて、放置されているというのでは、仕事もつまらないと思います。
日本のサービス業では、新人に対しては、背中を見て覚えろというか、OJTがほとんどですね。労働生産性を上げるといったときに、身体で汗をかくことが必要なのはみなさんよくわかっていると思うのですが、もっと効率的にお客様に感動してもらうために「脳で汗をかく」というセンスが、日本のサービス業には足りていないなと思うのです。そういった意味で、PDPのメンバーにも、体で汗をかくだけでなく、もうちょっと脳で汗をかくことを覚えてもらうために、社内大学「PDPカレッジ」というものを7年ほど前からつくりました。
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