"おもてなし"は「方程式」で標準化できる 急成長を支える「感動の技術化」とは?

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ポジティブドリームパーソンズ代表取締役社長の杉元崇将氏(左)と、グロービス経営大学院教授の山口英彦氏(右)の対談、前編です
属人的でマニュアル化できないと考えられてきた「感動を与える接客」。それをマニュアル化することで急成長を遂げている会社がある。それが、ポジティブドリームパーソンズ(PDP)だ。代表の杉元崇将氏に、グロービス経営大学院教授である山口英彦氏が話を聞いた。

「おもてなし」を思考停止ワードにするな

山口:よろしくお願いします。まずは「おもてなし」に関する「自論」をお伺いできますか?

杉元:はい。私には「おもてなし」に関して2つ、考えの軸があります。ひとつは「日本人」についてです。日本人にとって「おもてなし」というのは非常に大きな武器であり、資産であると思っています。謙虚であるとか礼節を重んじるとか、国民性や歴史的なバックグラウンドによって、日本人だから特別なトレーニングを受けなくても「おもてなし」が勝手にできてしまうというところがある、と考えています。

杉元崇将氏の新刊『「感動」ビジネスの方程式』。感動創出のフレームワークを見える化し、質の高いサービスで、顧客に感動を与え実績を高める手法を解説する

一方もうひとつ、「日本人だからできる」サービスであるがゆえに、「おもてなし」は属人的なレベルで終わってしまっているのではないか、とも考えています。たとえば宅配便ですが、日本では、ドアが開いたら配達人が一礼するのはあたりまえのことですが、同じようなサービス事業をアジアなどでやろうとするとき、「こちらが届けてあげたのに、なぜあいさつしなければいけないの?」というところから説き起こさなければならない、とよく言われます。つまり、良し悪しではなく、バックグラウンドが違うところでは、そういう精神は通用しないのです。

日本人にとっての大きな資産である反面、属人的なレベルで終わってしまって、それ以上に広がっていかない。「おもてなし」というようなサービス、あるいは精神は、それを再現するためのしっかりとした仕組みがなければ海外では生きないコンテンツだな、というのが私の考え方です。

山口:私は「おもてなし」というのは、サービス企業の経営者にとって非常に危険な「思考停止ワード」のひとつだと思っています。これをビジネスに応用しようとすると、「おもてなし」とは何かを明確にしなければならないし、「おもてなし」をお客さんにちゃんと気づいてもらって、その価値をおカネに換えなければなりません。いくつもハードルを越えていかないとビジネスに応用できないというのが、まず難しいところですね。

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