「背中を見て覚えろ」では生産性は上がらない サービス業こそ「脳で汗をかく」ことが必要だ
杉元:社会人になりたての人に背中を見て覚えろというばかりでなくて、ロジカルシンキングや、プレゼンテーション能力など、カリキュラムをしっかりつくって覚えてもらっています。やがてミドルマネジメントに入ってきたときのために、組織マネジメントやP/L(損益計算書)について学べる機会も積極的に提供し、育成環境で後方支援するような体制をつくっています。
採用力は「既存社員の満足度」で決まる
杉元:ここ数年は、採用というよりも、どちらかというと既存メンバーの満足度というか、既存メンバーがこの会社で頑張ることに誇りをもてるということに軸足を置いています。入社希望の人たちも、企業の規模や知名度や業務内容はもちろんですが、結局は人を見るのだと思います。たとえば面接で、こちらの面接官のことを「この人、熱意があるな、この人のようになりたいな。この人の下で働きたいな」と思ってもらえることが大事だと思うのです。メンバーひとりひとりがPDPの代表としてそういうことができるようになることが重要なのです。
そういう意味で言うと、採用の広告宣伝費をかけるよりも、既存のメンバーの能力を引き上げることに時間とおカネを使ったほうが、最終的には採用力が上がると考えています。サービス業では採用が難しくなっていますが、既存の人たちの帰属意識とか、成長力を高めるところに投資する、という方向がとても大事だと思います。
PDPでは、今期は「腹の据わったミドル100年計画」ということでやっています。会社が成長していくなかで「PDPのミドルマネジメントのメンバーは、やっぱり腹が据わっていますね」と言われることが、中長期で非常に重要だと思っています。「腹の据わったミドル100年計画」ということで、そういったメンバーをつくっていくために、今年はかなり時間と投資をして、それが3年後、5年後に花開いて、日本の経済がシュリンクしていくなかで、PDPのことをちゃんと考えたり、海外に進出していくときにリーダーシップをとっていく人財が増えていってほしいと考えています。むしろ、そういうことが評判となったり、信用になったりすることで、採用力はあとからついてくるのではないかとも期待しています。
山口:世の中の経営者で「人材は大事」とおっしゃる方は多いと思いますが、そのなかでも杉元さんはすごく人に興味があるというか、人が大好きという感じがします。人を大事にする経営と、人に頼る経営というのはだいぶ違うと思っていまして、やる気があっても経験やスキルに乏しい若手をしっかり育てて、彼らが活躍できる現場をつくる。これこそが人を大事にする経営だと思います。人は大事だといいながらも、実際には従業員の無茶な頑張りとか、一部の人の才能にどうしても頼りがちになってしまう。サービス業の会社はそこをブレイクしなくてはいけないですね。
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