バンコク銀行を支える日本人バンカーの正体 日系企業取引で断トツ、大洪水にもめげず
――小澤さんは東海銀行のご出身ですね。
ほぼ一貫して国際畑でした。米国に2回10年、バンコク支店長として4年。サラリーマン人生としては、全然恵まれていなかった。行く先々で再建をやらされました。
1980年代は中南米の不良債権の処理や米国事業のリストラをやり、日本に戻ったら、バブルが破裂して本体がおかしくなっていた。
不承不承で国際部門のリストラに着手しました。不良債権を作った張本人は国際部門ではなく、国内部門ですからね。でも、仕方がない。
その一環として、バンコク支店の業務を縮小し、バンコク銀行と資本提携した。東海銀行は資産を絞り、人だけ出す。結果的にそれがよかった。1997年のアジア通貨危機の際、他行は猛烈な貸し剥がしをやったが、東海銀行は早めのリストラのおかげで自己資本に余裕があった。バンコク銀行からバーツを400億円調達し、それを貸し剥がしにあった日系企業に融資したのです。
通貨危機の時はトヨタも資金繰りに苦しんだ
あのときは、バーツ急落でトヨタや本田のティア1(1次サプライヤー)が軒並み、債務超過に陥った。いずれ立ち直るとは思っていても、銀行は債務超過の会社からはカネを引き上げる。融資する決断ができたのは東海銀行だけでした。
ティア1のみならず、トヨタ本体にも貸した。トヨタ本体も資金繰りに苦しんでいたんです。トヨタは東海と三井銀行の並行メインでしたが、このとき、瞬間的に東海が三井を抜いてトップになった。
こうした動きをバンコク銀行はじっと見ていたのだと思う。
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