三井住友はインドネシアで550億円の減損 3メガ銀決算、アジア減速で急ブレーキ

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インドネシアで550億円の減損を出した三井住友フィナンシャルグループ(撮影:今井康一)

550億円の減損――。三井住友フィナンシャルグループは、出資しているインドネシアの年金貯蓄銀行BTPNの株価下落により減損計上を迫られた。出資額約1500億円の約3分の1に及ぶ減損だ。

11月13日に出そろった3メガバンクグループの2015年4~9月中間期決算。中国をはじめとするアジア経済の減速を主因に、業績拡大に急ブレーキがかかっている。3社の連結経常利益は第1四半期(2015年4~6月期)には、前年同期比10~23%の増益と好調だった。しかし、2015年4~9月中間期では様相が変わった。

いちばん厳しかったのは三井住友で、連結経常利益で前年同期比19%の減益(6318億円)となった。一方、三菱UFJフィナンシャル・グループは持分法の米モルガン・スタンレーが好伸し同2%増益(9699億円)、みずほフィナンシャルグループは高水準の株式売却益を計上し同7%の増益(5745億円)だった。

経済減速による需要鈍化に、金利競争も加わる

通期の業績見通し(連結経常利益予想)も明暗が分かれた。期初の目標対比で、三井住友は200億円の下方修正(1兆2200億円、前期比8%減)となったが、三菱UFJは200億円の上方修正(1兆5800億円、同8%減)、みずほは据え置き(9800億円、同3%減)であった。

三井住友はインドネシアBTPNの減損のみならず、アジアでの貸出も鈍っている。同社の海外貸出全体は14年9月末比1兆6000億円増えたものの(円安の影響を除く)、アジア太平洋向けは約1000億円減少した。一方、三菱UFJのアジア向け貸出は15年3月末比で約2000億円増えている。

「中国が景気減速局面に入ったことは間違いない。それがアジア各国の貸し出し減少につながっている」(三井住友フィナンシャルグループの宮田孝一社長)。三井住友の貸出残高はタイ、中国、韓国という順で減少している。

アジアは今夏まで激しい貸出競争の場となっていた。「一部の欧州系金融機関の業績が回復し、アジア市場に戻ってくる動きがあった」(三菱UFJの平野信行社長)からだ。アジアの優良企業が借り換えを行うと、欧州系金融機関が食い込んでくるため邦銀の貸し出しの取り分が減少。貸出金利の競争も伴っているため、同時に貸出スプレッドも縮小し、収益性が低下している。それに加えて、中国経済の減速や資源価格の下落、政治の不安定化などで、アジア各国の経済が停滞。邦銀がこれまでのようにアジアで稼ぐのは難しくなっている。

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