ゆうちょ銀行社長、懸案の「成長戦略」を語る 日本郵便との関係は永遠に残す

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配当利回りの高さから個人投資家の人気がついたが、市場関係者からは、成長性が低いとの指摘がなされている(撮影:尾形文繁)
11月4日に株式上場を果たしたゆうちょ銀行。今後は株主の期待に応える企業価値の向上が求められる。だが、ゆうちょ銀行は、規模こそ国内銀行最大だが、他の銀行にない規制も受けており、課題が多い。その中で懸案になっている"成長"をどう実現させていくか。長門正貢社長に聞いた。

――ゆうちょ銀行の貯金残高は177兆円(2015年3月末)と国内銀行で最大だが、その年間伸び率は0.6%。一方、ゆうちょ銀行を除く全国銀行の総預金残高は654兆円(同)へ年3.3%増えている。ほかの銀行に比べ、ゆうちょ銀行はどこに課題があると考えているか。

ゆうちょ銀行には、(一人1000万円までという)預入限度額の規制がある。しかし、限度額の問題だけではない。法人向け融資が認可されていないので、法人からの預金がほかの銀行に比べて少なく、法人預金の伸びも限られている。

貯蓄から投資へ、証券運用と手数料収入を強化

――貯金残高を2018年3月末までの3年間で3兆円拡大させる計画だが、その後も貯金は拡大させていくのか。それとも、全国銀行協会などが求めているように、規模は縮小させていくべきと考えているか。

三つのポイントがある。一つは経営としては頑張り続けると言っているので、減っていいと旗を下ろすのはなかなか難しい。二つ目に、マクロの環境をよく見る必要がある。今回の株式上場にあたって、米国ニューヨークで70社ほどを対象にIR活動(投資家への情報提供)をしたが、彼らは日本の預貯金は絶対に減ると見ている。貯蓄から投資への流れが加速するだろうし、高齢者の預貯金取り崩しが進むからだ。三つ目に、そうはならずに、ほかの銀行の預金が増えているようだったら、ゆうちょ銀行だけ減っていいとはならない。そうした他行の動きも見て、その後のことを考える。

――ゆうちょ銀行の成長戦略をどう描くか。

1番に大事なのが運用の深掘り。2番目が手数料収入の拡大だ。

まず運用について言うと、運用資産200兆円のうちベースとなる部分は日本国債を中心に運用しているが、金利低下で収益が減少傾向にある。今後は、サテライト運用と称する分散投資をさらに拡大していく。その残高は2015年3月末で約48兆円。4月に発表した中期経営計画で2018年3月末60兆円まで増やすとしたが、これをもうちょっと前倒ししてスピードアップしてやりたいと思っている。

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