ゆうちょ銀行社長、懸案の「成長戦略」を語る 日本郵便との関係は永遠に残す

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――法人向け融資や住宅ローンといった新規業務の認可申請を12年に行って以来、いまだに認可されていない。見通しは?

 認可されるのを待つしかない。認可がおりたらどうするか考える。新規業務が収益につながるか、十分慎重に検討する。システム投資とか、要員投入とか、おカネがかかるので、しっかりと収益に資するということでなければ、実際の業務開始は判断できないと思う。

――住宅ローンのシステムは、昨年、更新の入札を中止した。いまは住宅ローンシステムがない状態か。

ない状態が続いている。しかし、1回トライしているから、何が必要かわかっている。住宅ローン業務をやって収益が上がることがわかり、やるとなったら、早急に準備を始める。

日本郵便に払う手数料も下げる努力をする

――郵便局ネットワークを抱える日本郵便との関係はどうなるのか。

海外の投資家からも必ず聞かれた点だ。ここがよくわからないと。日本郵政は現在89%のゆうちょ銀行株を保有しているが、これを50%程度まで売却すると言っている。なれ合いでやってはいけないので、独立した法人としてきちっとやっていく。

――ゆうちょ銀行は、日本郵便に年間6000億円以上の手数料を支払っている。これは、ゆうちょ銀行の直営店の業務コストを基に算出している。今後、直営店のコストを減らし、支払手数料を減らす考えはあるか。

もちろん。コストは低いほうがいい。その方法論は、ゆうちょ銀行の業務を効率的にすること。ゆうちょ銀行のコストも下がるし、日本郵便のコストも下がることになる。直営店のコストを下げる努力をする。これはがんばります。

――しかし、日本郵便は全国において公平にサービスを提供しなければならないというユニバーサルサービスの責務が課されている。この維持のために、手数料を上げてほしいという要請がゆうちょ銀行に来たらどうするのか。

来たときに考える。

ゆうちょ銀行と郵便局(日本郵便)との微妙な関係(撮影:尾形文繁)

――日本郵便はそのように言う権利はある?

うん。でも、(ゆうちょ銀行が)断る権利もある。来たら考える。仮定の議論だ。ユニバーサルサービスによるコストの問題は、日本郵便と(その100%親会社である)日本郵政の問題で、まず彼らがやらなければいけない。まず彼らががんばって、どういうコストでどういう運営をするかは彼らの課題。ゆうちょ銀行に言ってくるのは、まだちょっと早い。日本郵便が、ユニバーサルサービスで、簡易な銀行業務をやるというのは、国家の義務としてある。ゆうちょ銀行はそれに貢献したい。

――ゆうちょ銀行と日本郵政は、利益相反関係にあるという認識はあるか。

ない。日本郵便の郵便局ネットワークがなかったら、ゆうちょ銀行は生きていけない。2万4000局、全国津々浦々のネットワークは、ゆうちょ銀行の武器だ。離れちゃ困る。この関係は、絶対こっちからも切らない。絶対残す。今後も永遠に。だから利益相反にならないように気をつける。

福田 淳 東洋経済 記者

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ふくだ じゅん / Jun Fukuda

『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などを経て編集局記者。

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