バンコク銀行を支える日本人バンカーの正体 日系企業取引で断トツ、大洪水にもめげず

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――小澤さんのライバルである日系銀行はいかがですか。

日系銀行は"腹切り"をやっています。つまり貸出金利のダンピング競争。先日、ミャンマーを訪問したら、あそこでももうやっている。しかも、日系銀行は資金をマーケットから引いてくる。市場がタイトになると、資金が取れなくなって行き詰まる。

本源的な資金である預金を持たなければ、安定したビジネスはできません。三菱東京UFJ銀行がアユタヤ銀行を買収した狙いは、そこにあると思う。こちらのお尻に火を付けてもらったのかも知れないが、それもまたよし。勝負は、いいサービス、いい商品をいつまで提供し続けることができるか。油断すると、すぐアウトですから。

基本は千差万別の経営を見抜く力

――バンコク銀行は横浜銀行、山梨中央銀行など多くの地銀から出向者を受け入れていますね。

日本企業部の日本人30人のうち20人が地銀からの出向者です。期間は1年半から、銀行によっては2年半。まず、私が主宰する「小澤塾」で5カ月間、バンコク銀行の商品と貸し出しの基本をみっちり教え込みます。

――貸し出しの基本、ですか。

日本の銀行は貸し出しが全く分かっていませんから。今の日本の銀行はスコアリング・システムで貸している。この点数の企業は1億円まで、この点数なら2億円まで、とか。

スコアリングは傾向を大づかみに見る仕組みでしょう。それを一律に当てはめることが間違い。貸し出しとは回収です。現実の与信判断には、回収できるのかどうか、千差万別の経営を見抜く力がなければならない。ところが、スコアリングが浸透し、しっかり企業を見る目を誰も持たない。だから、日本の銀行はカネを貸せない。

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