エヌビディアは日立のような社会インフラやモビリティーを手がける製造業企業と矢継ぎ早に協業を進める。独シーメンスとは「産業用AIオペレーティングシステム」で手を組んだ。独メルセデス・ベンツとは自動運転技術で提携し、今年1月のCESでは最新AIモデル「アルパマヨ」を搭載した新型の「CLA」を発表した。
日本でも産業用ロボット大手の安川電機が23年に提携を決めると、閉鎖的な社風で知られた競合のファナックが追いかけるように協業を発表。山口賢治社長は「顧客から『エヌビディアのシミュレーション環境(アイザック・シム)を使いたい』という声が強まってきた」と、その理由を述べた。
強みは「開発環境」
実はエヌビディアの強みはGPUというより、AI開発プラットフォームにある。同社が「3つのコンピューター」と呼ぶのが「学習、シミュレーション、配置(エッジAI)」の循環。中でも肝は、シミュレーションだ。

シミュレーション(テスト、実験)はできれば現実世界でやりたいが、途方もない時間がかかる。高価なロボットや車が何百台あっても足りない。そこで、仮想空間にデジタルツイン(双子)をつくり、「オムニバース」と呼ばれるプラットフォーム上で実験する。前出の「アイザック・シム」は、オムニバース上で動くロボット開発専用シミュレーターだ。
実験を経て賢くなったAIが、現実世界に出る。エッジAIとしてロボット、車、工場、倉庫などに配置されるのだ。
しかも、この開発プラットフォーム、多くの場合は無償だ。
昨年1月にエヌビディアが発表したAIモデル「コスモス」は、約2000万時間分の動画データを学習させてある。ユーザーの指示どおりにシチュエーションが映像化され、シミュレーションできる。

















