「線香花火に1万円なんてありえない」と猛反発された…でも「これは100円で売る花火じゃない」小さな工房で花火師の妻が起こした静かな逆転劇
1万5000円の線香花火が、季節を問わず引き出物や贈り物として選ばれている。線香花火=「10本100円ほど」というイメージからすると、異例の価格だ。消えかけていた国産線香花火は、どのようにして「選ばれる商品」になったのか。カギとなったのは、「どう届ければ価値が伝わるか」を考え直したことだった。
中心にいたのが、福岡県みやま市で創業97年の筒井時正玩具花火製造所、3代目の妻・筒井今日子さん。デザインを「見た目」ではなく「考え方」として学び直し、作り方や背景ごと、贈り物の価値に変えていった。
花火が大好きだった
1975年、福岡県の篠栗町に生まれた今日子さんは、夏になると毎晩、父と花火をするのが楽しみだったという。家の近所の駄菓子屋で、バラ売りの花火を選んで買っていた。
「駄菓子をひとつ買うのを我慢して、父とその日の夜にする花火を数本だけ買って帰るんです」
今日子さんは、にっこり笑う。
花火が大好きだった少女が大人になって出会ったのは、偶然にも花火師一家の3代目だった。
1997年、筒井時正玩具花火製造所・3代目の良太さんと結婚する。しかし、良太さんが家業に戻ってからも、線香花火はまったく売れなかった。国産は、安価な輸入品に押され、価格では太刀打ちできなくなっていた。


















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