「線香花火に1万円なんてありえない」と猛反発された…でも「これは100円で売る花火じゃない」小さな工房で花火師の妻が起こした静かな逆転劇

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「執念深いので」と今日子さんは笑う。

試行錯誤の末、質とデザインの両方を守り抜き、7月の大丸への納品を無事に終えた。

オリジナル商品を完成させた今日子さんは、品評会に出展した。バイヤーからのアドバイスで、花火に付随するものを添える提案があり、地元産の和ろうそくと、大川市の木工職人が作るろうそく立てを添えることで付加価値を生む商品にした。こうして「花」は、現在の「花々」として1万5000円で届けられている。

「私は職人じゃないから、花火を作るところは良太さんに任せてる。必死に理解しようとも思わない。でも、伝えるほうに興味があった。どれだけ、ひとに魅力を届けられるかってところに」

求評会で「東京の展示会に出すべき」と勧められた今日子さんは、翌年、東京で開かれるギフトショーへの出展を決めた。

そこには、運命の出会いが待っていた。

線香花火
左から「花々(和ろうそくとろうそく立て付き)」1万5000円、「花」8000円、「蕾々」5000円、「花一片」3500円(写真:筆者撮影)

デザインが、扉を開いた

2011年2月、東京ビッグサイトのギフトショー。ひとりのバイヤーがブースに立ち寄った。

「うちで扱いたい」

BEAMSだった。

「ええー!みたいな感じだったけど、絶対うまくいくとは思っていました」と今日子さんは、満面の笑みを見せる。

BEAMSに入ったことで、流れが変わった。こちらから営業をかけなくても、感度の高いセレクトショップから、次々に問い合わせがくるようになった。

「最初に出すところが大事です。ブランドイメージは、そこから広がっていきますから」

中庭さんの言葉通り、「届け方」を整えたとき、新たな扉が開いた。


さらに、デザインの力は筒井時正玩具花火製造所の花火を、遠くへ届けていく。

筒井時正玩具花火製造所では、東日本で親しまれてきた紙の線香花火「長手牡丹」と、西日本で主流の藁の「スボ手牡丹」という、2種類の線香花火を製造していた。中庭さんは、この2つのパッケージデザインを統一し、名称を「東の線香花火」「西の線香花火」と改めた。

すると、それまで地域性の強かった商品が、関東・関西の双方で受け入れられるようになり、売り上げは約2倍に伸びた。

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