「線香花火に1万円なんてありえない」と猛反発された…でも「これは100円で売る花火じゃない」小さな工房で花火師の妻が起こした静かな逆転劇
品質を磨きあげ、パッケージと文脈を整えることで、線香花火は「15本1000円」の商品へと生まれ変わった。
さらに、冬の寒い時期に作り、夏に売るのが当たり前だったスボ手牡丹を「冬の、できたて線香花火」として限定で販売することにした。「夏の風物詩」という花火のイメージを大事にしながら、新たな花火の楽しみ方を提案した。
商品が注目され、売れ出すと、次第に両親も認めてくれるようになった。
2011年、良太さんは、筒井時正玩具花火製造所3代目として継承した。
「一緒にデザインを学んでなかったら、パッケージだって印刷屋に頼めばいいやろ、くらいに思っとった。形のないものに金は払えんってね」
良太さんは笑顔を見せる。
「作る」だけでは守れない
2009年頃からデザインの考え方を取り入れ、販路を切り拓いた。約10年で売り上げは「おおよそ倍」になったという。ただ、そこに至るまでに必要だったのは、商品を作ることだけではない。作り続けるための手を、次々と打ってきた。
2014年頃、線香花火の原料である稲藁が手に入らなくなれば、自ら新規就農し、田植えから稲刈り、線香花火作りの工程をワークショップで公開した。
「デザインを学んでいたからこそ、作るところからストーリーが展開できると考えたんです」と今日子さん。
花火工場の横にはギャラリーを建てた。1本から花火を選んで買えるほか、専用の暗室では日中でも花火を楽しめる。商品やホームページに火花の写真をあえて載せないのも、想像の余白を残し、ワクワクを届けたいからだ。


















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