「線香花火に1万円なんてありえない」と猛反発された…でも「これは100円で売る花火じゃない」小さな工房で花火師の妻が起こした静かな逆転劇
「こうやって10本束ねて開くと、花になる」
後に筒井時正玩具花火製造所の運命を変える商品となる、線香花火の“花”が生まれた瞬間だった。
デザインとはオシャレにすることじゃない
良太さんの線香花火を初めて目にした日から9年、「オリジナルの花火を作りたい」と周囲に話していた今日子さんに商工会から声がかかる。2009年、地域の事業者を支援するプロジェクト「九州ちくご元気計画」に参加すると、良太さんを誘い、3カ月間のデザイン講座を受講することにした。
「デザインを学べば、商品パッケージを自分たちで作れる、というくらい簡単に考えていたんです」
今日子さんは、苦笑する。
というのも、その講座はデザインの専門学生が3年かけて学ぶものを3カ月で学ぶほど難しい内容だった。「花」を商品として届けたいと考えていた今日子さんは、「もう来週は俺は行かんでいいやろう?」と毎週ぼやく良太さんを説得しながら、3カ月通った。学びは、想像していたものとまったく違った。
「デザインって、オシャレにするとかお化粧することじゃなくて、誰に、何を、どう届けるか。『考え方』のことだったんです」
やがて、学んだことを実践する機会が訪れる。
商工会とのつながりから、物産展へ出展すると、問屋としか付き合いのなかった花火屋に初めて「お客さん」と接する場が生まれた。
「孫にやらせようと思ってスーパーで線香花火を買うけど、すぐポトって落ちる。私たちが子どもの頃は、こんなんじゃなかったと思っていたら、今の花火はほとんど中国産だったのね」
国産花火を手に取ってくれた、おばあちゃんの何気ないひと言に今日子さんは、はっとする。


















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