ゴルフはなぜここまで「贅沢」に見られるのか ゴルフ場利用税がなくなると困る人たち

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「平成23年度の交付金は356億円(ゴルフ場利用税506億円)」「ゴルフ場所在市町村にとって貴重な財源」「廃止されると行政需要に対応できなくなる」などと訴えているのは本音だろう。ただ、それをゴルファーに負担させるというのは「われわれは怠慢です」と言っているようにしか見えない。

廃止の話だけでなく、使い道の議論も!

改めて、これまでプレーしたゴルフ場の料金明細を見てみたら、河川敷のようなコースの500円から、名門コースの1200円までゴルフ場の規模などによって、税額はいろいろある。大上段に「スポーツへの課税はおかしい」「二重課税は不公平」という気はない。ゴルフのプレーフィーも下がってきているので、個人的には廃止されても、存続されても自分のゴルフにそう影響があるとは思わない。廃止でも存続でも、議員らの「得点」になるだけのような気がする。

要望書にあったゴルフ場へのアクセス道路の整備や維持管理、環境対策や、農薬・水質検査を利用税で行ってくれるなら、ゴルフ場側の負担が軽減してさらに料金が下がったり、サービスがよくなったり、コースが整備されるかもしれない。

500億円もあるなら、経営破綻したゴルフ場を買い取る原資にして、地方自治体が誰でも利用できる「パブリック」として運営すれば、全国にたくさんのパブリックゴルフ場ができそうだ。ゴルフ人口も増えて行くかもしれない。廃止、存続の白黒だけではなく、せっかく取って(取られて)いるのだから使い道の議論もしてほしいものだ。

赤坂 厚 スポーツライター

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あかさか あつし / Atsushi Akasaka

1982年日刊スポーツ新聞社に入社し、同年からゴルフを担当。AON全盛期、岡本綾子のアメリカ女子ツアーなどを取材。カルガリー冬季五輪、プロ野球巨人、バルセロナ五輪、大相撲などを担当後、社会部でオウム事件などを取材。文化社会部、スポーツ部、東北支社でデスク、2012年に同新聞社を退社。著書に『ゴルフが消える日 至高のスポーツは「贅沢」「接待」から脱却できるか』(中央公論新社)。

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