「トラックドライバーのソウルフード」「東京23区にはあえて出店しない」 ラーメンチェーン《山岡家》が全国区で老若男女に愛されているワケ
山岡家のように郊外立地に出店することは認知度獲得にはデメリットですが、経費を抑えるという点では経営メリットが非常に大きくなります。
特に小売り・サービス業にとって家賃を抑えることは一番の収益性アップ要因となります。広い面積を借りても、都心で商売することに比べるとかなりの低家賃で済みます。
ラーメンチェーン店はコロナ禍以降、息を吹き返し、比較的どの企業も売り上げを伸ばしています。競合他社でいうと、幸楽苑や一風堂も売り上げを伸ばしています。

一時期は赤字だった幸楽苑も、同社の新井田傳会長が経営に復帰して以降は業績を回復。海外出店を強化している一風堂は売り上げは伸びていますが、利益は落としています。
この2社と比較すると山岡家の増収増益の高さが目立ちます。特に販売費及び一般管理費(販管費)の伸び率がもっとも高いにもかかわらず、大幅増益しています。こうした点からも山岡家の安定した収益性がよくわかるでしょう。
「人に投資をする」ラーメンチェーン店
では3社の経費構造を比較してみましょう。

山岡家の販管費率は25年度で59.7%です。ものすごく低いわけではありませんが、利益を出すには十分な販管費に抑えています。
理由は地代家賃の安さ。売上比で2.8%です。幸楽苑はその3倍以上の8.7%、一風堂は海外店舗もあることからおよそ5倍の13.7%の地代家賃です。
山岡家は店舗出店やリニューアルも絞りに絞っていますので、減価償却も抑えられています。広告宣伝費も1.2%とほとんどかかっていないレベルです。
一方で、人件費には投資しており、売上構成比で34.3%、労働分配率(粗利に占める人件費割合)は48.8%です。幸楽苑の人件費率は山岡家と同程度ですが、分配率は49.6%と山岡家が低く抑えているのがわかります。しかし人件費では、幸楽苑より実額で20億円以上も多いのです。



















無料会員登録はこちら
ログインはこちら