前回、今時の若者たちの間で「オタク」を自称することが当たり前になり、結果、「エセオタク」や「ライトオタク」が増えています。そして、彼らの増加により、オタク市場全体の規模が拡大している、というお話をしました。
今回は、まだ割合は全体的に少ないものの、一見オタクには見えない、それどころか完全な「リア充」なのに、それでいてオタクである、という新しいタイプのオタク、通称「リア充オタク」について取り上げます(なお、完全な「リア充オタク」とまでは言えない、いわば「予備軍」の若者たちまで含めれば、その数はかなり増えてきています)。
著者の新著「新・オタク経済」(朝日新書)を執筆するにあたり、オタク研究グループに所属してくれた、若者研の現場研究員、関瑞樹さん(立教大学2年生)、油井里紗さん(明治学院大学1年生)、小林季生さん(早稲田大学1年生)、山縣里咲さん(大正大学4年生)が、この「リア充オタク」についてレポートします。
「リア充オタク」とは何か?
これまでメディアで描いた「オタク」のイメージは、「ある分野にとてつもなく詳しい」「文化系で暗い」「インドア志向で運動が苦手」「コミュニケーションが苦手」「服装・髪型に無頓着」「異性との交際経験が乏しい」といったステレオタイプなものだったように思う。
しかし2015年現在、若者オタクの間では、このようなこれまでのオタクのイメージとは大きくかけ離れたタイプが増加してきている。それが「リア充オタク」だ。リア充オタクとは読んで字のごとく、現実生活(主に交友関係や恋愛関係)が充実している人を指す「リア充」と、「オタク」を掛け合わせた造語。オタクでありながら、その生活や交友関係の在り方は華やかで、「リア充」と呼ぶにふさわしい人のことである。
「リア充」と「オタク」は一見とてもかけ離れている概念のように思えるが、リア充オタクはここ数年、若者の間で増加しつつある。今回は、実際のリア充オタク2名にインタビューを行い、彼らの実態や、なぜリア充オタクが増えているのかを紹介していきたい。
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