自分の身の丈に合った暮らしを快適に送りたいという思想や哲学を背景に、都市部を中心に、小さいながらもクオリティの高いマンションが増えてきたのも2007年頃だ。新築時がピークで、3カ月も経たないうちに劣化が目立ちはじめる。新しいけれどすぐに古くなり、暮らしにフィットしなくなる。そんな粗いつくりが目立つ新築よりも、リーマンショック前に完成した2007年頃の良質な中古マンションに目を向けた方がいいかもしれない。
プロの目を持つ建築士に相談するのも一考
たとえば三菱地所や三井不動産など大手デベロッパーが手掛けるマンションの標準仕様は一般的にレベルが高く、非常に厳しい品質検査が実施されており、プロから見ても安心感が高い。しかしすべてがそうだとは限らない。値段が高いから安心だとも言い切れない。1981年に新耐震設計基準が導入されたものの、実態としては玉石混交であり、シビアなジャッジメントが必要だ。
だからここでは、マンションを購入する場合には、顧問としてその分野に強い建築士やデザイナーに相談する形を提唱してみたい。プロであれば、「床の下地はどのような状態か」というような見えざる要素に関する質問も可能になる。このままでは劣化の進行が早そうなマンションも、プロが見れば一目瞭然であり、もちろん内装のリノベーションも連動して行うこともできる。
内装のリノベーションを行う際に、建築家に支払う費用は工事費の10~20%が相場だが、中古マンションを買ってリノベーションをするときには事前に物件チェックの相談も可能である。設計や監理だけではなく、コスト調整や工務店との交渉も代行してもらうトータルの費用として考えれば、10~20%のフィーは決して高くはない。施主の代わりにエージェントとして動いてもらうことで、よい空間を手にする。そのための必要経費ととらえよう。
付加価値が上がる提案をしてもらえば、売却の際にもメリットが出る。信頼できるホームドクターならぬホーム建築士を見つけて、「損をせず」なおかつ「プラス効果が出せる」中古マンション選びに臨みたい。
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