「なんか気持ち悪い…」AIで作ったものに覚える違和感こそが「人間の価値」そのものである訳

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なぜそんなものが溢れるかというと、顧客にとって良いものを定義する指示が、AIにされていないからです。

AIを使って作る資料やメールは、ちゃんと指示すれば違和感が出ないようにできるし、AIが作ったものを違和感がないように調整することも必要です。しかし、そこをサボっているから、「なんか気持ち悪い」というものを大量に作ってしまうのです。

典型的なのは、「誰に」「何の価値を届けるために」「どうするのか」の指示が抜けているというパターンです。

例えば「朝の社内スピーチ用の原稿を書いて」とAIに指示すれば、明るく前向きなスピーチの原稿を一瞬で作ってくれます。

でも、仮に8割の社員が後ろ向きな状況であれば、そのスピーチは逆効果かもしれません。「結局は精神論か」「なにも具体性がない」などと、さらにやる気をなくさせてしまうこともあります。

本来その状況で必要なのは、具体的で、状況を打破するアクションの確認などでしょう。であれば、AIには「未達成が続いてモチベーション低下している社員に、具体的な打破の方法を伝えたい」といった相談をすべきです。

目的をはき違えたトンチンカンなAI活用が、「クオリティが低い」「気持ち悪い」を大量に生み出しているわけです。

この「違和感」こそが給料の源泉である理由

実は、この「なんか気持ち悪い」という感覚を理解することが、まさしく「あなたの価値」だと言えます。

ここまで書いてきたように、「気持ち悪い=クオリティが低い」ということであり、言い換えると「価値が低い」ということです。

よって、その気持ち悪さを理解して、クオリティが高いものを作れるようになれば人間の価値になる、ということです。

著作権侵害などは別として、実のところ「AIを使ったかどうか」という議論には本質的に意味がありません。AIに仕事をさせようが何だろうが、顧客に価値を提供してお金をもらえるかどうかが仕事の価値です。

いくらAIを使いこなして、いろんなものが作れるようになっても、「なんか気持ち悪い」「なんか違和感がある」というものばかりを生産している人は、効率的に価値の低いものを作り出しているということです。

それは、言ってしまえば、給料が上がるところにはなかなか繋がりません。価値がゼロのものは、100個、1,000個作ろうともゼロなのです。

逆に言えば、気持ち悪くない、「とてもAIが作ったとは思えない」というものを効率的に作れる人は、非常に価値の高い人材になれるわけです。

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