入管問題や刑事事件は、社会に理解されにくい分野なので、輝かしさはありません。乗り越えなければならない壁が常にあり、権力と向き合う仕事なので、一歩間違えると自分がどうなってしまうのか、という怖さも常にあります。
「人権は、自分が嫌いな人のためにある」
──留置場のブラトップ問題では、松本さんの働きかけでブラトップの貸与制が導入されました。
理解されにくい問題を改善するためには、弁護士として国民の共感を得なければなりません。すぐに理解されなくても、問題提起し続けることで少しずつ社会が気づいていく。「なんかおかしいかも」と思ってもらうことが大事です。
政治家が声を上げない問題でも、弁護士として提示して解決に導く。それが私の役割だと思っています。弁護士が声を上げなかったら、誰が声を上げるのか。警察などの国家機関と対峙していくことも私の役割だと思っています。
ブラトップの件で警察の対応が変わったときは、素直に警察に感謝しました。正確な定義ではないけれども、人権って「自分が嫌いな人のためにある」と思うんです。
──今後、どんな弁護士でありたいですか?
昔は、「大人は全員敵だ」と思っていました。まっとうな人になりたいと思っても、人は一人じゃ変われない。人間って、たぶんそういうものだと思います。
犯罪を犯す人の多くも、過酷な環境を生き抜いてきた人たちです。いきなり「今日から失敗しない」なんて無理ですよ。
だから私は伝えたいんです。「失敗しても仲間はいる」「あなたは一人じゃないよ」「困ったときは頼れる人がいる」。そんなメッセージを仕事を通じて届けていきたいと思っています。
