「地元で働きたいのに働けない」若者が直面する残酷な現実 「採用してもすぐ辞めてしまう」と考える地元企業との"すれ違い"

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
エッジソン・マネジメント2.0
若者の“地域で働きたい”という想いを阻む、構造的な悪循環が存在しているという(写真:8x10/PIXTA)
労働人口が減少し、売り手市場が常態化するなか、企業は「人材獲得競争に勝てなければ生き残れない」時代に突入している。特に地方においては、若者の人材流出が止まらず、地域経済の維持や事業継続に深刻な影響を及ぼしつつある。
若手採用・育成のコンサルタントであり、一般社団法人 エッジソン・マネジメント協会の代表理事でもある樫原洋平氏は、地方の大学生から「本当は地元で働きたかったが、結局は都市部を選んだ」という声をたびたび聞くという。そこには、“地域で働きたい”という想いを阻む、構造的な悪循環が存在しているという。本記事では、樫原氏の著作『エッジソン・マネジメント2.0』を再編集し、若者の地元離れの実態とその打開策に迫る。
前回:『「楽で、かつ高収入な仕事に就きたい」「働くことは罰ゲーム」…若者たちがそう思ってしまう"根本原因"』

就活で折れる“地域への想い”

「地元で働きたい」「地域に貢献したい」と語る学生は少なくない。

だが、卒業後に選ぶのは、都市部の大企業──。

筆者が代表理事を務めるエッジソン・マネジメント協会では、大都市に限らず地方でも、産学連携による次世代リーダーの育成に取り組んできた。その過程で、意欲ある若者たちの心には、たしかに“地域への想い”が芽生える。しかし、その想いは就職活動を境に、静かに折れていく。

意欲ある若者が、自らの意欲に見合った企業を見つけられず、結局は都市へと流出してしまうのだ。「育てる」だけでは、地域には残らない。地方の人材流出には、構造的な壁がある。

地方の若者が「地元で働きたい」と願っても、それが叶わないのは、魅力的な企業が見つからないからだ。だが、それは企業の努力不足という単純な話ではない。

地方には、独自の技術や確かな顧客基盤を持ち、地域に根ざして安定経営を続けてきた企業が数多く存在する。社員の定着率も高く、「変わらなくてもやってこられた」という手応えがあるからこそ、あえて新卒採用や人材育成に踏み出す必然性が乏しかった。

次ページ「今どきの若者が長く働いてくれない」という思考になる理由
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事