「地元で働きたいのに働けない」若者が直面する残酷な現実 「採用してもすぐ辞めてしまう」と考える地元企業との"すれ違い"

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つまり、採用とは単なる人材獲得ではない。未来を変える覚悟の表明であり、企業変革の出発点である。

このような本気の採用に踏み出す企業が地域に少しずつ増えていけば、やがて好事例が積み重なり、地域全体が動き始める。

では、どうすれば優秀な若手人材を採用できるのか。これまでの実践から見えてきたのは、次の4つのポイントだ。

中小企業が“採れる・育てられる”ための4つのポイント

1. 長期的な関係構築

地方企業における新卒採用で重要なのは、長期的な関係構築をすることだ。採用に慣れていない企業が、短期間で効率的に採用しようとしても、まず上手くいかない。

若者と企業が、長い期間をかけて相互理解を深め、相思相愛関係をつくっていくことが何より大切だ。

そのためには、1回きりの企業説明会ではなく、長期のインターンやイベントなど、継続的な接点を通じて、“点”ではなく“線”で動機づけを行うことが求められる。

2. 「自分で育つ」マインドの醸成

採用が上手くいったとしても、今度は入社後の育成が問題になる。大企業であれば、新入社員に対して手厚い育成体制があるが、中小企業では同じことができない。

こうした企業に必要なのは、その現実を学生に正直に伝えた上で、「自分で育つ」マインドに切り替えてもらうことである。「育ててもらう」「育成は誰かから与えられるもの」という考えから、「自分で育つ」「育つ責任は自分にある」という考えへと改めてもらうのだ。そうすることで、入社後に成長し続けることが可能になる。

そのためには、学生の頃から自ら目標を設定し、挑戦し、学ぶ経験を積んでもらうとよい。そして、入社以降はOJTをベースに現場で自ら行動し、自ら学ぶように「期待値調整」をしておけば、入社以降のミスマッチリスクを最小化することができる。

3. 経営者のコミットメント

経営者のコミットなくして、地方企業における採用と育成は成功しないと断言できる。経営者自身に「企業変革の一丁目一番地は採用だ」「自分の後継者となる人材を育成する」などの強い想いがなければ、優秀な若手人材には見向きもされないだろう。

インターンや内定者期間、入社後の育成まで、経営者が直接かかわり想いを伝えることで、学生との相互理解・相思相愛関係は大きく深まる。

「採用も育成も、全ては経営者の責任である」と覚悟を決めることが、企業変革の第一歩になる。

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