「地元で働きたいのに働けない」若者が直面する残酷な現実 「採用してもすぐ辞めてしまう」と考える地元企業との"すれ違い"
人口減少と地域経済の縮小が進むいま、状況は確実に変わりつつある。既存の事業だけでは将来が見通せず、新たな挑戦が必要だと感じる経営者も増えている。特に2代目・3代目の経営者たちは、「このままでは立ち行かない」と危機感を強めている。
しかし、新しい挑戦を始めようとしても、社内の人材だけでは限界がある。そこで優秀な若手人材の採用に踏み出そうとするが、長年新卒採用から離れていた企業にはノウハウがない。
若者にどんな言葉で魅力を伝えるべきかがわからず、結果としてそれなりの採用広告費をかけたとしても優秀な人材が集まらない。仮に採用できたとしても、受け入れ側に育成の仕組みが整っておらず、早期離職につながってしまう。
しかも、このような若手社員の離職は、個別企業だけの問題ではなく、地域全体で繰り返されている。すると企業は、「うちが悪いのではなく、今どきの若者が長く働いてくれないのだ」と考えるようになる。次第に「若者の採用は難しい」とあきらめ、挑戦そのものを手放し、“消極的現状維持”にとどまってしまう。
「採用しない→育てられない→活躍できない→魅力を感じない→若者が離れる」という、悪循環が地域に根づいていくのだ。
採用が企業を変える──悪循環を断ち切る“最初の一手”
現状維持に甘んじる企業に、可能性を感じる若者はいない。たとえ若者に“地元で働きたい”という想いがあっても、入社したい企業が見つからなければ、その想いは静かに折れていく。そして、彼らは都市へと去っていくのだ。
地方創生の本質的な問題は、「若者がいない」ことではない。「若者が働きたいと思えない」状態が続いていることである。
地方創生や地域活性化のためには、こうした悪循環をどこかで断ち切り、若者が地域の企業に入社し、彼・彼女らが新しいことに挑戦して活躍し、その活躍する姿を見て、新たな若者が入社するといった好循環に転換する必要がある。
では、企業がこの悪循環を断ち切るには、どうすればよいのか。
筆者がこれまで多くの地方企業と関わる中で実感してきたのは、採用こそが、企業の未来を変える起点になるということだ。
「こんな若者がうちに入ってくれるなら、絶対に活かせる会社にならなければならない」──そのような覚悟が芽生えた瞬間、企業は変わり始める。優秀な人材の採用が、企業に緊張感と責任感をもたらし、受け入れ体制や育成への本気度を押し上げていく。



















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