「地元で働きたいのに働けない」若者が直面する残酷な現実 「採用してもすぐ辞めてしまう」と考える地元企業との"すれ違い"
採用した優秀な若手人材は、現場配属ではなく、まず人事部門に配属するか、社長直轄の人事担当者にするのが効果的だ。
経営者直轄の体制で採用・育成戦略を担わせ、次の世代を採用してもらう。そして次の世代も、優秀な人材を人事に配属する。引き継ぎが終わったところで、第1世代には現場に出てもらってもいいし、未来の人事責任者として、さらに人事でキャリアを積んでもらってもいい。このサイクルが続けば、何年か後には独自の新卒採用ノウハウがたまり、採用が強くなっている。
採用を強化することで、人材を変え、会社を変えていくというのが「人事ファースト」の発想である。
地方企業が採るべき若手人材とは
最後に、地方の中小企業が採用すべき人材とは、どんな人材だろうか。いまや大企業でも、大学名を重視しない採用へとシフトしてきている。学歴だけでは、正解のない時代に通用する力は測れない。地域の中小企業もまた、「どこの大学か」ではなく、「なぜ働くか」を見極めるべきだ。
採用で見るべきは、企業理念やパーパスへの共感、そして自ら成長したいという意欲である。
たとえ文章力や論理力に不安があっても、何度もフィードバックを重ねることで、驚くほど成長していく。実際、ドキュメンテーションが苦手な若手人材が、半年で見違えるような資料を書けるようになった、というような例を数多く見てきた。
若手人材には、「変わる力」がある。信じて、期待して、向き合えば、人は本当に変わる。その可能性を信じることこそが、採用の原点なのだ。
実際に、筆者が支援しているある地方企業では、新卒で入社した若手人材が、入社わずか2年で新規事業を担うグループ会社の社長に抜擢されるという出来事があった。これは、その企業にとって史上最年少での抜擢であり、これまでとは一線を画した挑戦だった。その後、新規事業は順調に成長しており、県内でも注目を集めている。
このように、意欲ある若手の存在が、企業の変革を牽引する。そんな事例を目の当たりにすると、地方の中小企業にとって新卒採用がいかに費用対効果の高い投資かを実感させられる。
諦めていては、悪循環は続くだけだ。「どうせ若者はすぐ辞める」「うちのような会社には来てくれない」と嘆く前に、まずは一歩踏み出してみてほしい。未来を変える第一歩として、本気の採用に力を注ぐことから始めてみてはどうだろうか。
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