若き曲亭馬琴を激励した「山東京伝」の心に響く言葉 大河【べらぼう】『南総里見八犬伝』を書きあげた異才の戯作者、波瀾万丈の人生

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NHK大河ドラマ「べらぼう」インスタグラムより
NHK大河ドラマ『べらぼう』で曲亭馬琴を演じる津田健次郎さん(『べらぼう』インスタグラムより)
NHK大河ドラマ「べらぼう」では、江戸のメディア王・蔦屋重三郎(つたや・じゅうざぶろう)を中心にして江戸時代中期に活躍した人物や、蔦重が手がけた出版物にスポットライトがあたっている。連載「江戸のプロデューサー蔦屋重三郎と町人文化の担い手たち」の第42回は、山東京伝のもとに出入りし蔦重の下でも下積み時代を過ごした、戯作者の曲亭馬琴(きょくてい ばきん)について解説する。
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処罰を受けた山東京伝の代作を手がけた男

「蔦重に『書け』って!!」

寛政3(1791)年3月、前回の大河ドラマ「べらぼう」では、戯作者の山東京伝によって描かれた『仕懸文庫(しかけぶんこ)』、『青楼昼之世界錦之裏(せいろうひるのせかいにしきのうら)』、『娼妓絹篩(しょうぎきぬぶるい)』の3作が、幕府によって「好色本」とみなされ、出版取締令に触れるとしてすべて絶版となった。

作者の京伝も出版元の蔦屋重三郎も、厳しい取り調べを受けることになった。引っ捕らえられた京伝が言い放ったのが、冒頭の言葉である。すべて蔦重のせいだというのだ。

通常のドラマならば、主人公に責任がかぶせられれば同情が集まるものだが、今回ばかりは「確かに蔦重が悪い」と。視聴者もみな京伝のほうに感情移入したことだろう。

ドラマでも描写されたが、実際に蔦重は渋る京伝を説得して、この3作を書かせたようだ。京伝に危ない橋を渡らせるにあたって、この3冊については「教訓読本」と記した袋に入れることで、あたかも好色本にはあたらないかのように見せかけた。

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