2025年ノーベル物理学賞の凄さを東大院生が解説!次世代計算機の基礎である「量子力学」の分野 「マクロなトンネル効果」観測

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(画像:YouTubeチャンネル「Nobel Prize」Announcement of the 2025 Nobel Prize in Physicsより)
YouTubeチャンネル「Nobel Prize」Announcement of the 2025 Nobel Prize in Physicsより

2025年10月7日、スウェーデン王立科学アカデミーは、今年度のノーベル物理学賞を、量子コンピューターの基礎となる技術を立証したアメリカの3氏に贈ると発表しました。

量子力学生誕100年の年の物理学賞

量子力学は、私たちの身の回りの物質を構成する原子や電子など、非常に小さなスケールであるミクロな世界を理解するための物理学の理論であり、1925年にW.ハイゼンベルグによって初めて打ち出されました。

日常生活においては物体は「物」や「粒」として扱われますが、ミクロの世界ではそれだけでは説明できない不思議な性質が現れます。その中でも特に重要なのが「粒子性」と「波動性」という2つの性質です。

例えば光や電子などは、小さな粒としての性質を持っており、壁にぶつかれば跳ね返るような性質を示します。これを、物質の「粒子性」と言います。

ただ、不思議なことに、それらの光や電子などは同時に「波動性」をも持ち合わせることが知られています。「波動性」とは、水面の波や空気中を伝わる音のように、一点から広がって存在するような性質を指します。

普段の生活では、「粒でもあり波でもある」ような現象を観測することはできず、直感に反するように感じますが、ミクロの世界ではむしろそれが当たり前。1900年代初頭には、この「粒子と波の二重性」を検証するような実験が多く行われており、これが量子力学の台頭へと繋がりました。

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