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2025年<ノーベル経済学賞>イノベーションが経済成長を駆動する・・・「創造的破壊」にはプラスとマイナスの両面、R&D投資は大きければいいのか?

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2025年ノーベル経済学賞
スクリーンに投映されているのが受賞の決まった3氏。経済学賞は時代の潮流を反映する(写真:Getty Images)

スウェーデン王立科学アカデミーは10月13日、2025年のノーベル経済学賞(アルフレッド・ノーベル記念スウェーデン国立銀行経済学賞)を「イノベーション主導の経済成長」を解明した3氏に授与すると発表した。

評価の半分を占めたのが米ノースウェスタン大学のジョエル・モキイア氏の研究だ。残りは、フランスの国立高等教育・研究機関であるコレージュ・ド・フランスのフィリップ・アギヨン氏と、米ブラウン大学のピーター・ホーウィット氏による共同研究の貢献とする。

世界は過去200年、かつてないほどの経済成長を経験し、人々の生活水準は大きく向上した。その基礎にあったのが、絶え間ないイノベーション、新たな技術が古い技術を駆逐する「創造的破壊」のプロセスだ。

その発展がどのようにして起こったのか、持続的成長のために何が必要なのかを示す重要な研究業績が、受賞の決まった3氏にはある。

経済成長と技術革新の関係を明らかにした

経済史家のモキイア氏は産業革命の研究で知られる。

技術革新が持続的な経済成長につながっていくには、自然現象を説明する科学的な知識と、生産に活用される技術的・実用的な知識との相互作用が必要だと、02年に指摘した。前者は「命題的知識(理論知識)」、後者は「規範的知識(実践知識)」と区別される。科学と技術が歩調をそろえて進化できる環境や要因にも言及した。

マクロ経済学を専門とするアギヨン氏とホーウィット氏は、創造的破壊を経済成長理論のモデルに組み込んだ1992年の共著論文が高く評価された。

経済成長と技術革新に関する研究には、かねてノーベル経済学賞が授与されてきた。

87年には新古典派成長モデルとして広く用いられる「ソローモデル」を打ち立て戦後のマクロ経済学を方向づけた故ロバート・ソロー氏が、18年には内生的成長理論のモデルを切り開いたポール・ローマー氏が受賞している。

アギヨン─ホーウィット論文は、先行研究に続き、より現実に即したモデル化を行った。

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